福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.122(H09/1997.11) -013/042page

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◇ おわりに

 ○ 複数の教師による協力と分担により、児童の実態に応じた達成度別、課題選択別、興味・関心別による学習課題や学習コースの設定が可能になるとともに、個に応じたきめ細かい支援ができるようになり、基礎学力が向上した。

 ○ 問題解決的な学習過程を工夫し、一人一人の思いや願い、考え方を生かした学習活動を展開することにより、主体的な学習態度の育成が図られ、自己学習力が高まった。

 ○ 教師間での情報交換や共通理解を図るための話し合いの機会が増え、教材研究や授業の準備が効率的に行えるようになるとともに、教師の指導力が向上した。

  (県教委「T・T方式推進モデル事業」地区指定 福島市立O小学校の研究成果より抜粋)


 社会が分業化され、専門化されているように、私たち教師集団も効果的な教育活動を展開するために、組織的にとらえ直す必要性があるように思います。

 ティーム・ティーチング導入のねらいは、基礎・基本の重視と個性を生かす教育を実現するために、複数の教師が協力して小人数による指導や個別指導を行えるようにし、子どものよさに広く対応し、その子が思いっきり自分のよさや可能性を発揮できるようにすることにあります。

 ティーム・ティーチングの実践に取り組んできた学校の実践報告では、前掲したO小学校と同じように、例えば子どもが意欲的に取り組むようになること、自分に合った学習課題が提示されるので学習しやすくなること、分からないところや疑問点をすぐ聞くことができ安心して授業に取り組むようになることなどの教育効果が上がっているとの報告がなされています。

 また、私たち教師にとっても、子ども一人一人のつまずきや理解不足を早く発見でき適切な対応ができること、了ども一人一人に目が行き届き生徒指導面でも効果が上がること、教師が協力して授業を行うことを通してお互いが切磋琢磨するため、指導力の向上や教材研究の深化が図られることなどの効果が上がっているという報告が多いようです。

 これらの報告は、まさに私たちがこれから目指さなければならない方向であると思います。

 ティーム・ティーチングの実際の運営・実施をめぐっては、いろいろな課題をかかえているのも事実のようです。学校規模の問題、教員配置の問題、学習環境整備の問題、さらには私たち教師間の人間関係の問題等々。また、新しいことに取り組むには、時間も手間もかかるものです。しかし、子どもの学習への期待や関心に応え、意欲を喚起するには、実践校の報告でも分かるようにティーム・ティーチングによる指導体制の確立が今不可欠となっています。

 今、私たち教師が、勇気をもって新しい指導形態のティーム・ティーチングに取り組むことが強く期待されています。

授業写真


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