福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.122(H09/1997.11) -021/042page

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 児童一人一人の特性や願いをとらえて不安やっまずきに対処すること、児童の思いに教師が寄り添い、表現を見守ることである。ここでは調査結果や表現傾向などを個人カルテに累積して活用したり、学習カードに思いや反省を記録させたりして指導に生かしたい。

 (3) 「主体的に造形活動に取り組む」とは自分の思い(主題)を持ち、知りたいことややりたいことをはっきりさせて積極的に表現することである。

3 研究の実際と考察

1 検証授業計画

 (1) 題材名わたしだけの空と風(絵に表す)
 (2) 検証の観点
 1 自由な発想と多様な表現のできる題材の設定は、自分らしい表現を促し、満足感を高めることができたか、児童の活動の様子や学習カードから考察する。

 2 学習カードや個人カルテは、児童一人一人の特性や願いをとらえ、思いを人事にした支援をすることにつながったかを児童の活動の様子や学習カードから考察する。

2 検証授業のねらいと意図について

【検証授業1】2・3/8時
 (1) 本時のねらい
 自分のイメージを大切にして、表現の構想を練ることができる。

 (2) 本時の意図
 自分らしい表現の構想を立てる段階において自由な発想に対応できる多様な表現が可能な画用紙づくりを取り入れ、試行錯誤を含めて自由な活動を保証すれば、より自分らしい表現を求めて、意欲的に取り組むであろう。

【検証授業2】4・5/8時
 (1) 本時のねらい
かきあがった空の印象をもとに、自分の心にある風景を表現することができる。

 (2) 本時の意図
 自分の心を形や色で表現する段階において、アイデアスケッチや表現計画を取り入れてイメージを具体化すれば、見通しを持って主体的に表現に取り組むであろう。

3 指導の概要

 (1) 自由な発想と多様な表現のできる題材の設定
 1 オリジナル画用紙づくりについて(検証授業1)

 前時において、既に画用紙づくりに必要な用具や技法は試している。まず、めあてと各自の取り組む表現技法を確認して、活動に移った。児童はすぐに様々な用紙や用具、材料の中から自分のイメージに合うものを選択し、取り組んだ。表現方法は、マーブリング・にじみ・吹き流しなどが中心だが、複数組み合わせたり、用具を様々に使い分けたりすることで、多様な表現が可能になった。中には、納得するまで何度もやり直しをしたり、また、活動していく中でぼんやりしていたイメージが確かなものになり表現方法を変えたり、新たな課題に気付き、工夫を重ねたりする姿も見られた。教師側としては画用紙全体に表現させることを考えていたが実際には、全体の構想を考えて必要な部分だけに彩色している児童も見られた。(30%)学習カードの反省を見ると、「思い通りに進んでいる、うまくいった」が64%あった。その一方で、思い通りではなかったが逆に生かそうとする姿勢も見られ、前向きに取り組んでいた。


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