福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.122(H09/1997.11) -023/042page

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〈資料5〉鑑賞カードより

〈資料5〉鑑賞カードより

 (2) 学習カードや個人カルテについて
 学習カードは、学習の流れが分かるように段階ごとに活動内容を明示し、その都度めあてと反省を書き込むようにさせた。

 個人カルテには、絵画に関する意識や表現傾向、態度などを蓄積している。これに本題材の学習カードから必要なことを記録し、指導に役立てていった。

4 考察

 (1) 自由な発想と多様な表現のできる題材の設定について
 本題材は、全く自由に空想を楽しむ児童から具体的な場面を描くことを好む児童まで、だれもが楽しめた。その一番の理由は、初めに画用紙づくりをしたことで主題がある程度明確になり、細かい描写をしなくてもイメージが伝わることにあったのではないかと考える。

 (2) 学習カードや個人カルテにより一人一人の思いをとらえることについて
 学習カードだけでは具体的な悩みやつまずきは見えにくいので、個人カルテを生かして苦手な段階を予想し、指導に役立てた。また、授業では児童の声に耳を傾け、心に寄り添って共感的に支援していくことが大事である。

 (3) 主体的に取り組むことについて
 はっきりとしたイメージを持って授業に臨んだ児童は迷いが少なく、イメージ通りに表現しようと試行錯誤を繰り返していたが、あいまいなイメージで臨んだ児童は、画用紙づくりの段階から迷っており、やっとつかむ姿も見られた。教師は、後者のような児童に対して、参考資料を提示したり話し合いの場を持ったりするなどの支援をして、はっきりしたイメージを持てるように援助する必要がある。意欲は主体性に大きくかわる。

4 研究のまとめと今後の課題

1 研究のまとめ

○ オリジナルの画用紙づくりを構想の段階に位置づけたことは、これまで身に付けてきた水彩絵の具の技法を試す場となり、いろいろな工夫をして楽しむことができた。またこの画用紙が主題に直結することから、余分な説明が必要なくなり、自分の力にあった表現が可能になった。

○ 学習カードや個人カルテを毎時間チェックし積み上げていくことで、一人一人の思いをとらえることができるようになってきた。このことで、児童はさらに自信を持って表現に取り組むようになってきた。

2 今後の課題

○ 一人一人の思いをきめ細かく把握するために、学習カードや個人カルテをさらに充実させていく必要がある。

○ 児童の満足感とともに造形性も求めたい。そのためには客観的な評価を提示して、自己評価や相互評価の仕方について工夫をしていかなければならない。


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