福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.122(H09/1997.11) -028/042page
研究紹介
生徒理解を深める学級活動の取り組み
〜学級担任と養護教諭の連携を生かして〜
浪江町立津島中学校養護教諭 井戸川あけみ
1 研究の趣旨
「いじめ・不登校」などが社会問題となり、人間関係が希薄になりつつあることから生徒一人一人への心のケアが叫ばれ、生徒一人一人をより深く理解した適切なかかわりが望まれている。生徒理解とは、生徒の気持ちを共感的に理解し、受け入れることである。
養護教諭としてこれまでの生徒理解が、来室生徒を中心としたものであったことから、自らがもっと生徒の中に飛び込んで直に生徒とかかわる必要を感じていた。
本校では、各学年の学級活動年問指導計画に「エイズについて」の指導を設定している。学級活動では、題材によって学級担任とともに指導に当たってよいことから、生徒理解を深める機会になるのではないかと考え、養護教諭の専門性を生かし、積極的に学級活動にかかわってみることにした。
学級活動は、事前指導、授業、事後指導の三つの段階があるが、養護教諭の立場では、事前指導が最も多くかかわれる場である。
本研究は、事前の活動を中心に学級活動に取り組み、生徒理解をどう深めていくかを探るものである。
2 研究の見通し
学級活動における事前指導を中心に養護教諭の特性を生かしながら生徒一人一人への共感的な理解に立った支援や自己選択できる情報の提示をしていけば、生徒理解が深まり、教師と生徒・生徒間の相互理解を深めていくことができるであろう。
3 研究の概要
2年生の題材「もっとエイズを考えよう」を取り上げ、性的な発達への適応を図る指導を通して、学級担任と連携を図りながら、生徒理解を深める。
1 研究の実際
学級活動における活動の主体は、生徒自身であるという考えから、支援については学級担任との共通理解を図った。
具体的な支援は、次のア〜オである。
ア 生徒一人一人の考えを聞くこと。
イ 手を貸すこと。(共に活動し、考えたり教えたりする。選択の幅を拡げてやること。)
ウ 見守ること。