福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.122(H09/1997.11) -033/042page
設問7 図の統一の傾向
設問8 画面の中心と分割の傾向以上、8つの設問からなる調査用紙により実施した。ここでは紙面の都合上、設問1〜4、および設問8における報告とする。
3 調査の結果と考察
設問1 描画傾向の判定
先に述べたように、ここで再現描写についての傾向を見る。つまり描写に見られる視覚的な合理性を判定する。そのため、次の問題を出題した。
次の情景を思い浮かべて、解答用紙の枠の中に描いてください。
「日ざしのあたる窓辺のテーブルに、透明なガラスコッブ1つと、みかんが2つのっています。コップには水が半分くらい入っています。」描く対象が目の前にないのが再現描写と矛盾してしまうが、身近な情景であり、いずれも基本的な形態であるので、描いたことのあるなしによる差はある程度くい止められると考える。テーブル上の円筒形とおおよその球体、ものが3つあることによる奥行き、日差しによる明暗をみる。また窓を描き入れるとテーブルとの関係も加わる。
客観性を持たせるために、次の1〜4の項口を設定しそれを基準とした。
1 コップの断面の捉え方が視覚的である。 2 陰影が形に添い光の方向が一定である。 3 おおよその線遠近法に基づいている。 4 画面全体を1つの視点から描いている。
4項目のうち、いずれか1つでも該当しない項目を持つものをAグループ(描写傾向がどちらかというと視覚的・合理的でないもの)、4つとも該当しているものをBグループ(描写傾向がどちらかというと視覚的・合理的であるもの)とした。なお描いてある物の位置や大きさ、構図は問題にしていない。
この結果、それぞれのグループの人数は次のとおりとなった。
Aグループ144名
Bグループ87名以下、各設問についての、それぞれのグループにおける調査結果と考察を述べる。
設問2 画面としての認識の傾向
図1を見ていただきたい。次の出題をした。
「例」に似たものはア、イ、ウのどれですか。 この問いでは、似たものという問いかけに対してウの、画面の配置と構成に気付くものがどのくらいいるかということである。アを選んだものは大きさと数に「例」と共通したものを感じ、イを選んだものは形そのものを「例」との共通点としている。
グラフ1がその結果である。A、Bの表示はそれぞれAグループ、Bグループを表しア、イ、ウはその設問の選択肢である。
ウについて、入が35%であるのに対し、Bで