福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.123(H10/1998.2) -014/042page

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◇シリーズ

   ティーム・ティーチングによる高校数学の授業の在り方

                        教育センター学習指導部

1 はじめに

 高校の数学科におけるT・Tは、今年度から本格的な取り組みが始まった。個に応じた指導を今まで以上にきめ細かく行うことで、学力の向上を図ることがねらいである。

 ここでは、T・Tを実施するときの指導形態や留意点について考えてみたい。

2 T・Tによる指導形態

 T・Tを導入するねらいは、生徒一人一人に応じた学習指導をより充実させ、学力の向上を図ることである。

 T・T方式をとることで、生徒の学習の程度や興味・関心、学習スタイルなどに応じた授業が展開しやすくなる。また、複数の教師が関わることで生徒のよさや考え方の特徴などもとらえやすくなり、個に応じた指導がよりきめ細かく展開できるようになる。

 従って、T・Tを行うに当たり、「この授業はなぜT・Tにするのか」、「授業のねらいは何か」、「評価の観点は何か」などを明らかにして実施することが大切である。

 数学におけるT・Tの形態は、

 1 一斉指導の中で、特に問題演習時に机間指導などを通して複数で個別指導に当たる場合

 2 習熟の程度に応じてグループを編成し、分担して指導に当たる場合

 3 生徒の興味・関心や能カ、適性に応じた学習コースを設け、分担して指導に当たる場合

などが考えられる。

3 T・Tによる指導事例

 上記1型の授業について検討してみよう。

○ 授業の流れ

 はじめに一斉授業でT1が講義式の授業を展開し、その後、学習内容の定着を図るための演習に進み、T1、T2それぞれがあらかじめ決めてある方法や内容に沿って、個別指導に当たる、最後に再び、T1が本時のまとめを行う。

○ T1、T2の役割分担

 T1が授業展開をリードし、T2が生徒の様子や理解の程度などを観察する。

 演習時は、生徒を半分ずつに分け個別指導に当たる。その際、生徒の思考を遮るようなことは慎み、生徒の感情や指導のタイミングも考慮する。また、適宜、情報交換をしながら指導を進める。

○ 個別指導の内容

 理解不足の生徒には、ポイントを説明しヒントを与え次の活動を促す。理解している生徒には、別解や発展的な問題に取り組ませる。

○ 期待できること

ア 生徒に接する時間が多くなり、よりきめ細かく、実態に合った指導ができる。

イ 考え方がわからなかったり、計算ミスなどで無駄に時間を費やしたりしている生徒を早く発見し、適切な指導を加えることができる。

ウ 教師が身近にいることで質問しやすい雰囲気になり、生徒の質問が増え、演習問題に意欲的に取り組む姿勢が強まる。

工 生徒のっまずきに気付いたり、考えの特徴がとらえられたりして、通常の授業を見直す機会になる。


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