福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.123(H10/1998.2) -017/042page
1 休むことも必要なまさる君
『今、まさる君には休むことも必要ですね』専門機関のアドバイスを聞いたゆり子先生(仮名)は驚きました。全く予想外だったからです。
学級担任としてのまさる君の印象は、多少引っ込み思案なところはありますが、がんばり屋というものでした。ところが、2年生の5月の連休明けから休みがちになり、6月からは全く登校しなくなりました。
母親からは「本人が明日は行けそうだと言って、毎日登校の準備をしている」という連絡を受けています。しかし、なかなか登校できないでいるまさる君が心配でゆり子先生は専門機関を訪ねたのでした。
ゆり子先生が専門機関で相談をした結果、次のようなアドバイスを受けました。
【専門機関からのアドバイス】
《まさる君の現在の状態》
・ 心身ともに疲れた状態であること・ 学校での友人関係、勉強などが、今の本人には大きな負担になっていること・ 夜遅くまで眠れない、朝起きられないなど、生活のリズムが崩れていること
《基本的な関わり方》
・ 本人は今、大変疲れているので、ゆっくり休ませてあげること・ 休むことで自分を見つめ、元気を取り戻せるように見守ってあげること
家庭 : 本人が負担を感じないでゆっくり休めるような環境をつくること
学校 : 家庭との連絡を取り合い、本人の状況を把握しておくこと学級では、休んでいても本人の存在が感じられるような配慮をすること
2 まさる君への指導援助の話し合い
生徒指導委員会では、専門機関との連携、今までの経過報告、今後の対応について話し合いがもたれました。
連携は、実線で表された『子どもの心を共感的に理解する関わり』を基盤とします、互いの仕事の内容を知り、それぞれの立場や専門性を尊重し、何ができ、何ができないのかを理解し合って協力的に子どもと関わっていくことが必要になります。
話し合いの結果、専門機関からのアドバイスをもとに、次のようなまさる君への指導援助をしていくことになりました。
【学校ですること】
○ 家庭訪問などにより、連絡を取り合いながら家庭との信頼関係をつくること
○ 両親の不安な気持ちを受け止め、安定を図りながら、まさる君が安心して休むことができる環境づくりを支援すること