福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.123(H10/1998.2) -018/042page
【専門機関にお願いすること】
○ カウンセリングを通して、まさる君本人の気持ちの安定を図ること
○ 親の気持ちを受け止め、家庭での具体的な関わり方についてアドバイスをしてもらうこと
3 親の思い、まさる君の思いにふれる
ゆり子先生は、じっくりまさる君に関わっていけそうな気がしています。今日は、本人の様子やその後の専門機関での相談の経過について知りたいと考えて家庭訪問をしました。
父 親 : 相談を始めてから、2か月過ぎても少しも登校の気配が見えなくて焦ります。
担 任 : そうですか。お父さんのお気持ちはわかります……。
母 親 : ずうっとこのままだったら、と思うこともあるんです。「きっと動き出す時が…」と言われてもねえ。
担 任 : ……、ご心配ですよね。ところで最近、まさる君の様子はどうですか。
母 親 : そういえば、最近ときどき妹の勉強を見てやっているようです。
父 親 : 朝も、一緒に食事をすることもあるよな。
担 任 : そうですか。まさる君、すごいですね。
母 親 : えっ。すごい?
担 任 : 生活にリズムが出てきたようですね。ほめてあげてください。
父 親 : うまくほめることができればいいんだが……。
母 親 : そういえば、あまりほめたこと、なかったわ。
まさる君本人に会うことはできませんでしたが、まさる君の変化をうれしく感じたゆり子先生でした。
4 元気が出てきたまさる君
「まさるが『今、学校はどんな勉強しているのかな』なんて聞くんです」と母親から電話がありました。ゆり子先生は、放課後、家庭訪問をすることにしました。
母 親 : 先生、頂いたプリントをまさるに見せたら、真剣に見ているんです。
担 任 : そうですか。……うれしいわ。
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(中略)
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担 任 : じゃ、今日はこれで失礼します。
母 親 : せっかく来ていただいたのに挨拶もさせないで申し訳ございません。
担 任 : いいえ、気になさらないでください。どうぞ、無理はさせないようにしてください。