福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.123(H10/1998.2) -019/042page
まさる : (玄関に出てきて)………、さようなら、ゆり子先生。
担 任 : あら、まさる君。………元気そう。うれしいわ。
「まさる君の顔が見られてよかったわ」とさわやかな気持ちになったゆり子先生でした。
5 ゆれながらも動き出したまさる君
ある朝、「今朝、心配そうだったけれども学校に向かいました」と母親からゆり子先生に電話がありました。学級では特別扱いはせず、さりげなくまさる君を迎えました。
ところが、まさる君は、2校時が終わると職室にやって来ました。
まさる : 先生、何か疲れちゃって。………帰ってもいいですか。
担 任 : そうだね、疲れたよね。だんだんに慣れていけばいいよね。
『何か疲れちゃって』と自分の気持ちを言えたまさる君、『そうだね、疲れたよね』と自然に返事ができたゆり子先生、どちらも少しずつ変わったなと二人のやりとりを見守る教頭先生でした。
6 その後のまさる君
まだ、週に一回程度は休むことがありますがまさる君は登校できるようになってきました。「まさる君、授業中極度の緊張はなくなったね」「休み時間に友達と楽しそうに話していたね」など、先生方からの声にゆり子先生は、まさる君が次第に自分らしさを取り戻しつつあることを強く感じています。
家庭・専門機関との連携を通して、児童生徒の心を理解するために
○ 心が疲れたり自分を見失ったりしている児童生徒への指導援助は、家庭や学校だけでは困難な場合があります。このようなとき、専門機関を積極的に活用し、連携を図ることは、児童生徒の心の理解を深めるのに効果的です。
○ 専門機関に児童生徒への指導援助を任せきりにしないで、専門機関でできること、学校や家庭で行うべきことを明確にして児童生徒に関わることが大切です。
○ 家庭・専門機関との連携を効果的に進めるためには、次の点に配慮することが必要です。
・ 学校での指導態勢を確立するとともに、連携の窓口を一本化する。
・ 継続的に家庭・専門機関との連絡を取り合い、情報交換を十分に行う。
・ 専門機関での相談の必要性について家庭と十分に話し合い、理解を得る。