福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.123(H10/1998.2) -023/042page
(5) 年間の実践を通しての考察〜変容調査から
次のグラフは、第1回と第2回の検証授業で行った自己評価を比較したものである。
4項目全てで成果が見られた。また「スキットは楽しかったですか」の問いに対しては、21人中20人が楽しかったと答えている。その理由としては、いろいろなアイディアを出してストーリーを作るのはおもしろい、自分と人との考えを合わせていいものが作れる、友達の別な一面が見られる、などが多かった。また、第2回検証授業までに行った8回のスキットのVTRを生徒に見せ、どんな変容が見られたかを自由に書いてもらったところ、自信を持って発表するようになった、前は緊張してやっていたが今はとても楽しんでいる、話に「オチ」をつけられるようになった、あいづちや動きが多くなった、文章作りが時間内でできるようになった、などがあげられた。事前調査で「人前で発表するのは恥ずかしい」と答えた生徒は11名だったが事後調査では5名に減っていた。理由としては「スキットを何度も発表するうちに恥ずかしくなくなっていった」という答えが多かった。
スキット創作の場を数多く設定し段階的に指導したことで、作品の質・量が向上し、生徒は楽しみながら生き生きと表現できるようになった。このことから仮説は有効であったと言える。
4 研究のまとめと今後の課題
1 研究のまとめ
「本を読んだりまんがを描いたりすることが好き」という生徒達の創作好きな面を生かし、教科書の本文に簡単な挿入句を入れるところから始まったスキット作りが、今では10分程度の時間の中で与えられたヒントをもとに不トーリーを作ったり、CMを作ったりするまでになった。また、作り始めの頃は、日本語で書いてから和英辞典で周到に調べて英訳するというやり方であったが、回を重ねるうちに思いついたことをどんどん英語でつないでいくグループも出てきた。文法的なミスを指摘せず「質より量」を重視したことで、「スキットの時間は間違いを気にせず自由に英語を使う時間」という意識が生徒達の中に芽生え、英語に対する抵抗感が徐々に取り払われていったように思う。個々の創意ある取り組みを通して今まで引き出し切れなかった生徒の力を目のあたりにすることができたこともこの実践を通して得られた大きな成果だった。
2 今後の課題
スキットという虚構の世界(あるいは特殊な状況)の中ではいろいろと言葉が思いつき、表情豊かに演じることができるようになったが、ALTとの会話などでは緊張してしまい、尻込みする生徒がまだ多い。今後は実際の場面でも気軽に英語を話せるような指導を工夫していきたい。