福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.123(H10/1998.2) -027/042page

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のはシミュレーション・ゲームの最大の特性であろう。

 (2) 「シミュレーション報告書」・「事後テスト」から

 シミュレーションの成功(失敗)の原因として情報活用の成否をあげるものが数多くみられたことは、本時のねらいである情報活用の有為性についての理解がある程度なされたということではないかと思う。このことは、事後テストにおいて経済事象と株伍の関連性についての正答率が非常に高く、知識面での定着がみられたことからもわかる。

 (3) 生徒の活動意欲から

 普段の学習環境との違いもあり、生徒の積極的な取り組みがみられた。特に、消極的で発表もあまりしようとしない生徒がリーダー的な役割を果たしている様子には驚くべきものがあった。

 1回目の授業が終了した後に「次は絶対成功してやる……」などとつぶやいている生徒がいたところをみると、少なくとも、学習への意欲付けはできたと思われる。

 事後のアンケートや生徒の感想・反省からも、今回の学習をきっかけに、毎日のテレビや新聞での経済ニュースや株式市場の動きにも目がいくようになった生徒も増えており、学習の深まりと生徒の変容もみられるようになったようである。

4 研究のまとめと今後の課題

1 研究のまとめ

 (1) シミュレーション・ゲームは与えられた条件下で自らの意思決定で進めるものである。生徒たちは、悪戦苦闘しながらも課題解決のために思考し、意思決定を行うことができた。また、授業における生き生きとした様子からも生徒の学習に対する充実した様子が感じられた。その意味ではシミュレーション・ゲームの活用は、生徒の主体的・積極的な学習態度を促すことに有効であったと考える。

 (2) シミュレーション・ゲームを成功させるためには、提示された情報をいかに活用できるかがカギである。情報の分析にあたっては、生徒の知識では理解が困難な部分もあったが、成功への意欲が教師側の説明を受け入れやすいものとし、学習の定着もみられた。結果として生徒と教材との結び付きを強めることができた。

 (3) シミュレーション・ゲームを通して

 生徒たちは、多様な情報を収集・処理しながらそこに見い出される問題点を分析・考察しながら学習を進めることによって、情報活用の有為性に気付くとともに、問題解決的な学習を通して、試行錯誤の中から目標に合った正しい意思決定が行えたと考えられる。

2 今後の課題

 (1) 検証授業においては、時間の関係から銘柄数・運用期問などの条件を限定して実施したが、より深く探究するには、多様な条件下で実施したほうがよい。そのためには、時間数の確保、2時問続きの時間の確保が必要である。

 (2) シミュレーション・ゲームで表示される経済情報の内容をより実際に近付けることやゲーム自体の展開のスピード化を図るなどソフト面での改善の余地がある。

 (3) 小人数のグループ学習の形態をとったが、さらに効果を上げるためには個別学習の形態についても模索する必要がある。

《注》使用ソフト『ビジネス・シミュレーション』(一橋出版)
※ これは、前任校福島県立白河高等学校における研究実践である。


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