福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.123(H10/1998.2) -031/042page

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 5 グループ学習を中心に、創造的な作業活動を取り入れた指導 (高等学校 理科・地学IB 2年)

 生命の進化の過程を中心とした地球の歴史の学習は、知識伝達型の授業になりがちである。また、事前調査から、思考活動の不活発な生徒は教師の支援に対する期待が大きいことがわかった。そこで、グループ学習を中心に、個別の支援を行いながら、創造的な作業学習を取り入れることで、思考活動の活発化を図った。

 具体的には、石膏を用いた製作活動を通して地層の生成過程の中で化石がっくられることを理解できるようにした。また、過去に生息した動植物の絵が描かれたカードを準備し、班別に相談して、時代ごとの生物界を表現する「古生代ワールドをつくろう」というテーマの作業活動を取り入れた。その結果、生徒は作業を楽しんで行い、思考活動も活発になった。

古生代ワールドカード

 6 思考活動を活発にする操作教材の製作と活用 (中学校 技術・家庭 3年)

 蛍光灯の仕組みや働きを理解するために、電気の流れを視覚的、操作的にとらえられる教材として、蛍光灯回路展開板を製作し活用した。この教材は、生徒が考えた回路図の上に蛍光灯の部品を置いて結線して現象を確認できるので生徒は意欲的に取り組み、思考活動が活発になった。授業後に、教材に対する生徒の評価と思考活動についての自己評価との関係を調べた結果、両者にはかなりの相関がみられ、操作教材に対する評価が高い生徒ほど思考活動が活発であることがわかった。

信夫中学校写真
<蛍光灯の回路図の上に部品を置いて結線している様子:研究協力校福島市立信夫中学校〉

3 まとめ

 思考活動を活発にするためには、次のようなことがポイントになることがわかった。

 ○ 考えようとする意欲は事象との出会い方と関わりが深い。導入時における事象や教材の提示の仕方が極めて大切である。

 ○ 書く、話す、作る、まとめるなど、自分を表現するとき思考が伴い、また、他者からの反応によっても思考が促される。表現活動を取り入れることは効果的である。

 ○ 思考は時間を要する活動である。児童生徒がゆとりをもって考えることができるように、教師側にも、結論を急がず、待つゆとりが欲しい。

 自分から進んで考えることができる力を育てるためには、思考活動が活発に行われる授業を繰り返し行っていくことが必要である。


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