福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.123(H10/1998.2) -032/042page
研究紹介
地層の学習を支援するマルチメディア教材(福島県版)の開発
教育センター情報教育部 佐藤 哲
1 研究の意図
(1) 小学校理科におけるマルチメディア教材の在り方
文字や音、静止画や動画などをコンピュータ画面に取り入れたいわゆるマルチメディア教材には、実際に見ることができない世界をわかりやすくシミュレートしてくれるものがある。また、自分でやれることでもコンピュータが代わって正確無比にやってくれ、しかも色や音が効果的に使われ、そして動きは本物に近いといったものもある。
居ながらにして様々な世界を疑似体験させてくれるソフトウェアを見るにつけ危惧されることは、「直接体験はどうなっていくのか」ということである。特に小学校段階、とりわけ理科という教科の中においては、マルチメディア教材が発展すればするほど直接体験をより重要視していかなければならないのではないだろうか。
画面を見るとことによって、自分も「行ってみたい」「もっと詳しく見てみたい」「さわってみたい」という子供たちの直接体験への関心・意欲が高まっていく、そのようなマルチメディア教材が、今求められているのではないかと考える。
(2) 地層の学習単元の魅カに迫るために
小学校6年の「大地のっくり」は、「星の動き」とともに「時問・空間概念の育成」を図ることが期待できる魅力ある単元である。「時間・空間概念の育成」のためには、単に地層のでき方や層の構成物についてとらえるだけでなく、地層を調べることによって地層の縦の重なりや横の広がり、つまり点から面、面から空間への広がりをとらえるとともに、その土地全体のでき方について推論していく楽しさを味わうといった学習活動が重要となる。しかし、学区内に適当な地層が見当たらず、いわば全国版である教科書の写真やビデオなどをもとに授業を進めざるを得ないことも多く、身近にある地層と比較しながら「推論の楽しさ」を味わうことができるようにするには難しい面がある。
そこで、福島県内で見られる地層についてデータベース化し、子供たちが実際に調べてきた身近な地層と比較したり、地層の全体像から層の構成物までをとらえたりすることができるようなマルチメディアソフトウェアを開発し、子供たちの「もっと調べたい」、「さらに探究したい」という意欲的な学習を支援していきたい。そして、自分たちが住んでいる土地のでき方や私たちの郷土福島県の太古の様子に思いを馳せる活動へとつなげることもできるのではないかと思っている。
2 研究の実際
(1) 使用ソフトウェア
『スーパーYUKI』(NEC)
(2) 開発の構想