福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.126(H11/1999.2) -025/046page
については音声化したり、具体物を提示したりして、その当時の様子を3年生なりに理解できるように考慮した。「語句指導表」をもとにした計画的かつ具体的な指導は、戦争当時の様子を読み深めるのに効果的であった。
IV 研究のまとめと今後の課題
1 研究のまとめ
(1) 物語文の読み取りの学習
物語文の読み取りの学習においては、文中の大事な言葉に気付かせるため、表現上の特色から分析し指導方法を位置付けた「語句指導表」の作成が、意図的・計画的な指導のために必要・不可欠であることがわかった。特に本教材のような戦争を背景とする文学教材においては、その場面の状況や様子を表した語句に対する指導が人物の読み深めには必要であり、単元全体を見通した指導の展開が大切であることを実感した。《語句に関する調査結果》
【語句について】 語句指導表の中の大切な語句をどのくらい書いているか、座席表をもとにチェックした。
語 句 人 割合 語 句 人 割合 1 出 征 30 88% 17 第一 3 8% 2 ほしいい 19 55% 18 まばたき 3 8% 3 いくさ 18 52% 19 記念写真 3 8% 4 しょういだん 13 38% 20 すきとおる 3 8% 5 たすき 11 32% 21 ぼう空ごう 3 8% 6 先祖 11 32% 22 かげおくり 2 5% 7 ざつのう 9 26% 23 きき返す 2 5% 8 空しゅうけいほう 9 26% 24 深い 2 5% 9 空に消える 6 17% 25 火が回る 1 2% 10 はす向かい 5 14% 26 深くうなずく 1 2% 11 何十年 5 14% 27 日の丸におくられる 1 2% 12 命 5 14% 28 ぽつんと 1 2% 13 目を落とす 5 14% 29 目の動き 1 2% 14 一面 5 14% 30 風があつい 1 2% 15 きらきら 4 11% 31 16 ほのおのうず 4 11% 32 ◇以上の結果から、子どもたちの間では戦争に関する語句の意味が
わからない児童が多い。本教材の背景である戦争の場面の様子を
どのようにとらえさせていくかが1つの読みの指導の鍵になる。
【心情について】 その時間で読み取っていきたい心情をワークシートをもとに判断した。