福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.127(H11/1999.7) -003/042page
内委員会の委員に任命された。その後何回か会議に出席し、また民間ユネスコ活動に携わっている人たちの会合に出て、他府県の人に会って話をすると、福島県の取り組み方には未だ課題が多いことを思い知らされるのである。
多くの人が知っているようで実は知らないのがこのユネスコだ。中にはユニセフ(国連児童基金UNISEF)と間違う人もいるのである。
ここで、少しユネスコのことについて記すことをお許し願いたい。
・名称 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)
・設立 1945年11月16日 ユネスコ憲章採択
1946年11月4日 〃 発効
・加盟国 憲章発効時 20ヵ国
1999年現在 186ヵ国
・ユネスコ憲章
「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」で始まる前文は、あまりにも有名である。
これは1945年11月、ユネスコ憲章を起草するためにロンドンで開かれた会議の開会式で、当時のイギリスのアトリー首相が述べた歓迎のスピーチから引用したと言われている。もっとも、これもアトリー首相の創作ではなく、新約聖書の一節から採ったと言われている。
なお、「戦争は人の心の中で生まれる」というユネスコ憲章のことばは、最初からすべての国に受け入れられたわけではない。ソ連はユネスコ設立のための準備会議には参加していたが、憲章を採決するユネスコ設立総会には欠席した。この総会にオプザーバーとして出席したユーゴラスビアの代表は、ソ連を代弁する形で「ユネスコ憲章前文はマルクスの弁証法的唯物論を勘定に入れていない。云々」と非難している。ソ連と東欧諸国がユネスコに加盟したのはそれから9年後の1954年のことであった。
アメリカは1984年に脱退し、現在もそのままであり、日本はユネスコ分担金の1/4即ち25%を負担している。これだけ見ても、 ユネスコは、まさにワンダーランドなのだ。
・世界寺小屋運動
世界には字の読み書きができない人が約9億人いて、その75%即ち約6億8000万人はアジアに集中している。日本ユネスコ協会連盟では、このような人達が字が読めるようにするため「世界寺小屋運動」を提唱し、「アジアに学校を!」のキャンペーンを行い、多くの人たちに協力を呼びかけている。
・世界遺産
世界の貴重な自然遺産、文化遺産を保護、保存するのもユネスコの重要な仕事である。
日本では白神山地、京都・奈良の寺院、白鷺城などが登録されている。
・このほか生命倫理の問題にも取り組んでいる。
このようなことが「総合的な学習」の中で、社会科、理科、芸術科などの横断的な取り組みがなされれば、児童生徒にとって大変有意義なことではないかと思う。
先日、アフリカ・ルワンダ共和国出身の方の訪問を受けたとき、ユネスコの話をしたら、直ちに「ああ、それは小学校のとき習った」と言っていたのには驚いた。
このような国際理解教育の取り組みが、民族、宗教、言語などを異にする国の人たちと相互に理解し、また相互不信から解放することになるし、そしてまた、そうすることが、国際平和と人類共通の福祉の増進というユネスコ設立の目的にも適うことになると信じて疑わない。