福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.127(H11/1999.7) -013/042page

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録に記述される時は文章で書くでしょうね。

VII 総合的な学習の時間の活動を通して育まれることが期待される子どもたちの姿
齋藤  先生のお話を伺って、各学校が「総合的な学習の時間」をどのように準備していったらよいのかが見えてきたように思います。最後に「総合的な学習の時間」を実施する 注2 ことによって、子どもたちにどのように変わっていって欲しいとお思いでしょうか。各学校に対する高階先生の期待といったものをお聞かせいただければと思いますがいかがでしょうか。
高階  一つはですね、子どもが自分のやりたいことを発見するということですね。将来について、今の子どもは自分が何になりたいか、将来どういうことをしたいか、といった夢がないじゃないですか。ところが総合的な学習で自分がやりたいことをやっているうちに、自分はこういうことをやりたいんだという自覚ができますね。そういう自己発見が、将来自分が何をやりたいかということの自覚に結びつくことが期待できますね。
 二つ目は、自分がやりたいことを追究することによって自分はこんなことをやれたという自信を持つ。そしてやれたことを自分の言葉で語れるようになる。自分に自信を持つ、自分のやったことを自分で語れる、そういうことから自己確立が生まれると思うのですね。
 そして三つ目に、自らの課題を解決するために自分が取り組もうとして地域にどのように対応できたか、受け入れられたか、を体験することによって、自分を中心に世界を見てきたのが社会の中に位置付けて広く見られるようになるということですね。そうすれば社会の中で、共に生きるという姿勢が育っていくものと思うのです。
 自分の将来に夢を持つこと、自分の有能さに自信を持つこと、そして広い視野を持って共に生きるという意識を持つこと、そういうふうになることを期待しています。
齋藤  いろいろと初歩的なことからお教えいただき、ありがとうございました。まだまだ聞き足りないことがあるようにも思いますが、自分の課題を自分で見つけ、自分で解決していくことが大事だと教わりました。総合的な学習の時間が実践されることによって、先生のおっしゃるような主体性のある、将来に夢を持った子どもが数多く育っていくことを、そして、そのような子どもたちを育むことを喜びとする先生方が多く現れることを期待したいと思います。本日はありがとうございました。

(このインタビューは6月3日、霞ヶ関ビル隣りの屋上公園で行われた。ちょうどこの日、新学習指導要領の移行措置が告示された。)

注1  ポートフォリオ(Portfolio)評価:学びの結果より過程を重視しようとする考えから出されてきたもの。子ども用及び教師用ポートフォリオ評価が考えられている。日本では評価法の一つとして知られているが、合衆国では学習法としても使われている。「総合的な学習」の評価にはポートフォリオ評価が適している、とする声もある。
注2  総合的な学習の時間の日課表の扱い:総合的な学習の時間の日課表への位置付けについては、明治図書刊月刊誌「学校運営研究」No.487(1998年11月号)に高階先生の解説「小学校“総合的な学習の時間”と日課表の弾力化」があるので参照されたい。

 高階玲治先生の略歴紹介
樺太生まれ 1957年、北海道大学学芸大学卒業 松前町立大島小学校・大野町立大野中学校・北海道教育大学附属函館小学校教諭を歴任の後、1973年、北海道立教育研究所教育経営研究部に所属、のち副部長 1987年、盛岡大学文学部教授 1989年、国立教育研究所室長 1998年よりベネッセ教育研究所顧問


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