福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.127(H11/1999.7) -017/042page

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連載コーナー

きざしへの気付きと初期の対応

教育センター教育相談部

127号 〈不登校〉
128号 〈いじめ〉
129号 〈学級崩壊〉

〜登校をしぶりだしたA子の事例から〜

朝の場面:A子と母親

 いつも元気よく学校に出かけていたA子が、ここ2,3日、朝の集団登校の時刻になると腹痛を訴え登校をしぶりだすようになりました。昨日も、母親に優しくなだめられ、なんとか登校できましたが、今日は、「学校にいきたくない。」と言い、急に大声で泣きじゃくりしがみついてきます。途方に暮れた母親は、とりあえず担任と連絡をとり、状況を説明し、欠席させることにしました。

〈母親の不安〉
 パニックは消え失せ、うそのように平静を取り戻しているA子に目をやる母親は、信じられない思いにかられていました。「さっきまでの腹痛を訴えたA子は何だったのだろうか」と解せない時間のなかで、ふと「もしかして、これが不登校なのでは」という思いが頭をよぎりました。そして、「これまで何ごともなく過ごしてきたのに。学校で一体何があったのだろうか。」と不安な気持ちを募らせていきました。
 母親はころあいを見計らって再度A子の担任のF先生に電話をかけ、その後のA子の様子を伝えました。電話の向こうのF先生もA子の意外な行動にはかなり驚いている様子でした。
 母親は、普段と変わらない様子でテレビを見たり本を読んだりするA子の姿をながめているうちに、ふと、最近A子の表情が暗かったことに気付き始めたのでした。

〈F先生の回想と気付き〉
 担任のF先生は、教室へ戻ると、A子の席に目をやりました。そして、最近のA子の様子を思い起こしてみました。「仲良しの友だちのおしゃべりはどうだったか?」「友達とのかかわりはどうだったか?」と。そうするうちに、A子の時折淋しげな無気力な表情があったことに気付きました。学級が高学年としての意欲が高まっている中、5月の連休明け頃から確かにそ


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