福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.127(H11/1999.7) -024/042page
☆押し花作りをした時から、何を作るか決めていたり、お母さんと一緒に家で壁飾りを作ったりと「押し花で物を作る」活動がいかに魅力的であるかが分かる。さらに、授業のなかで活動がどんどん広がり、教師が予想していた活動(しおり・はがき・お手紙カード)以外に壁掛け、宝物箱、鉛筆立ての活動が生まれたことからもこの活動が子どもにとっていかに魅力的であったかが分かる。
ウ 抽出児の活動の様子・作文から
活 動 H児の活動の様子 B児の活動の様子 検証授業前 ・みずかけのお世話を毎日忘れる。
・芽がでたことをそっと教えてくれた。
・椀雨期、雨がいっぱいあたってかわいそうだと報告にきて、木鉢の置く場所を変えた。・水かけのお世話を忘れる。
・芽がでたことをうれしそうに教えてくれた。
友達の花の変化もよく見て教えてくれた。
・言葉かけお世話を忘れる。検証授業 ・はじめは、何を作ったらわからずにみんなの作るのを眺めていた。
・「お花が喜ぶような物は、何かな」と言葉かけをした。
「ぼく本が好きで読むからしおりにしよう。」
「毎日飾って見られるように、壁掛けもつくろうかな。」
と作る意欲がでてきた。
・時間が終わるまで集中して作り続けている。・はじめから、「しおりをつくるんだ」と意欲的である。いつもは飽きてしまい、何度も教師の所に来て、「これでいいですか。」「できました。」と言いにくる。
・「お家の人にもあげるんだ。」と家族全員の分を作った。
・教師の所へは、一度も来なかった。
・時間が終わると「もっとやりたい」「次の時間もやろう。」と言い出した。検証授業後 ・「もっといっぱい花が咲くように水をあげるんだ。」と自分から水かけするようになった。忘れるときもあり言葉かけを続けた。
・植木鉢の片付けでは、花に「さよなら。」といった。・花の数を数えては、水かけをしていた。
・水かけを毎日やるようになった。
・植木鉢の片付けでは、ねっこを大切に持ち帰り観察カードに貼っていた。V 研究のまとめと今後の課題
1 研究のまとめ
栽培活動に興味・関心の薄かった子どもたちは(資料1)(資料2)(資料3)にみられるように、「自分の育てたい花」の種を蒔き、お世話し、継続的にかかわることによって、興味・関心を深めたり、親しみを持ったり、育てる喜びを感じたり、生命として尊重する気持ちが育ったりしてきた。これは、子どもたちによって長期間の具体的な栽培活動が、子ども一人一人の思いや願いを生かす活動を工夫し、活動意欲が持続するような活動計画や支援を考え、魅力的な活動を取り入れたことによって、豊かな栽培活動になったものと言える。2 今後の課題
(1) 一人一人の子どもを見取りよさを認めのぱしていくために、見取り→支援→評価の継続的な記録や集積の方法を考えていかなければならない。
(2) 他の単元においても子どもの思いや願いを第一に考えていかなけれぱならない。