福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.127(H11/1999.7) -026/042page
※1 「課題設定→解決方法の考案→観察・実験→まとめ→発表」という一連の探求活動を、自分の力で行いながら、単に外面的な活動だけにとどまらず、イメージづくり、意味付け、関連づけをし、自分なりに概念形成をしていくことと捉えています。
※2 ポスターセッションを、「中学生の発達段階」「1クラスの人数」「50分という時間」「理科室という場所」に合わせて工夫して取り入れることが大切だと考えています。
ポスターセッションをうまく活用できれぱ、その特性に伴う多くのメリットが考えられます。今回は、ポスターセッションに絞って述べたいと思います。III ポスターセッションの工夫
ポスターセッションを取り入れるにあたって次のような工夫をしました。
1班編成の工夫… 一班の人数を2〜5人とし、学級全体で9〜12の班ができるようにした。 2ポスター作成の工夫… A4判の白紙2枚に、項目立ててまとめられるようにした。それを拡大複写機で模造紙大に拡大し、発表用のポスターとした。 3発表者と聞き手の分け方の工夫… 全体を3回に分け、1回に3〜4つの班が同時に発表することとした。発表以外の班のメンバーは、聞き手になるようにした。 4発表の仕方の工夫… 発表者は、ポスターを指示棒で指し示しながら発表すること、原稿は作らず自分の言葉で説明することを共通の約束とした。 5発表の聞き方の工夫… 聞き手は、自由に発表者の所を回ってメモをとりながら聞くこと、発表を聞いたら必ず意見や質問、または感想を言うことを共通の約束とした。 6発表時間の工夫… 1班あたりの発表時間を約10分とした。時間内に3〜4度の発表ができる。 7発表場所の工夫… 理科室の四方の壁面に、全班のポスターをあらかじめ貼っておくようにした。これにより、各班の発表場所を明確にするとともに、交替の時間短縮を図った。 このような工夫をすることで、生徒もスムーズにポスターセッションを行うことができました。
IV 「分解者」の授業から
中学3年生、2分野の「分解者」の授業を例に、ポスターセッションの有効性について考察します。
「自然界を掃除するのはだれか」という共通課題について、「土の中にはどのような生物がいるか」「菌類・細菌類は有機物を分解するのか」などの5つの視点を与えました。生徒は、その中から1つを選び、自己課題を設定して、自分たちで実験方法を考え、探求を行いました。個人でワークシートにまとめ、それをもとに班でポスターを作成しました。自分たちでレイアウトを決め、課題、予想、実験方法、結果、考察、感想などをまとめています。(次頁に例を載せました。)これらのポスターを使って、発表と話し合いを行いました。