福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.127(H11/1999.7) -034/042page
研究紹介 技術・家庭科における思考活動を活発にする実践的研究
〜技能を獲得する過程をスモールステップ化した実習装置の活用を通して〜
教育センター科学技術教育部 森 義 彦
確かな知識・理解、技能を獲得するためには、生徒が自ら思考活動を行う過程を通して課題を解決していくことが大切である。技術・家庭科において実習の工夫・改善を図り、思考活動を活発にする実践研究を行った。
I 思考活動について
本研究では、思考活動を、当面の課題を解決し、事象を理解していく過程であるととらえた。
事象を理解するとは、事象にみられる事実関係、事象と事後の間の相互関係や因果関係、複数の事象間の総合的な関係をつかむことであると考えることができる。
事象理解の段階と科学的思考の要索とのかかわり合いを示すと次の図のようになる。II 実 践
1 領域・題材・対象
○領域 「電気」
○題材 「回路計を用いた電気の測定」
○対象 2年 男子38名 女子30名 計68名
2実習の工夫・改善
(1) 思考活動を活発にする工夫
事象理解の段階を踏まえて、実習の難易度を徐々に高めていけば、課題解決意欲が持続し、各段階で働く思考が活発になり、電気機器の点検に必要な知識や回路計の操作技能が高まると考えた。そこで、操作技能を獲得する過程をスモールステップ化した4段階の実習装置を開発し活用した。
(2) 実習装置の開発
身近にあるアイロンを題材に取り上げ、簡単な導通試験装置から電気機器の故障を発見するまでの回路計実習装置を開発した。
1 導通試験練習装置
見えない部分でつながっている端子を導通試験で見つける装置である。回路計の測定値を比較・分類する活動を通し、回路のつながりの事実関係をつかめるようにした。2 置圧測定確認装置
直列回路と並列回路でワット数が異なる電球の明るさを観察し、電球にかかる電圧を測定す