福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.129(H12/2000.2) -004/042page
2 「徹底追跡!生きる姿をPartll」の実践
(1) 対象と出会い、学ぷ価値を感じること
子供の主体的な学びは、対象に対して子供が驚きや感動、疑問、矛盾など心を動かされる体験からスタートすると考える。そのためには、教師がきっかけを与えてやることが大切である。
本単元では、国語科の「生きる姿を『石うすの歌』」の学習の中での「戦争の中にも、平和があるんじゃないかな」という子供の発言をきっかけに、「今の社会は平和だろうか」と問いかけた。3割の子供たちが平和であると考え、7割が平和でないと考えた。そして、自分がそう考える理由について話し合う中で、自分の考えに確信をもったり、友達の考えに共感したりしていった。さらに、子供たちの祖父母の考え(7割が平和、3割が平和でない)を提示した。自分たちとの考え方の違いに驚くとともに、その違いの理由は戦争体験であると考えた。そして、戦争中の様子を調べていかなければならないという強い思いをもつことができた。
このように、「今の社会は平和だろうか」という問いと祖父母の考えをきっかけに、対象に関心をもち、学ぶ価値を感じ始めたのである。
(2) 自分が調べたいことをたっぷりと
調べたいことをもった子供たちの思いを大切にして、調べたいことをたっぷりと調べることができるようにしたいと考えている。
「戦争中の人々の暮らしの様子を調べていきたいな」「郡山市の戦争はどうだったのだろう」「今、戦争をしている国の様子はどうだろう」などとそれぞれの子供たちが、これから自分が調べていきたいことをもち、追究が始まった。
その際、子供の追究が自分なりにできるように、教師は次のような点を大切にしていった。
まず、子供たちの追究の過程を見取るために、毎時間のノートに目を通し、調べる方法をアドバイスしたり、調べたことを認め、称賛したりといった個に応じた支援を重視していった。また、子供たちの思いや活動内容に応じて、授業時間を45分に限らず、60分や90分と弾力的に設定していった。
その結果、自分の目的をしっかりともって、その子供なりに追究する姿が多く見られた。
(3) 体験を通して学ぶ
子供たちの追究が自分のものになるようにするために、五感を通して学べるような体験的な学習活動を重視した。
戦争中の人々の暮らしや戦争中の人々の気持ちについて調べていた子供たちの中から、実際に戦争を経験した人から話を聞きたいという願いが出された。そこで、子供たちが敬老の日に地域のお年寄りに手紙を書いて、返事があった方に来てもらうことになった。また、本校の人材バンクに登録している方にも来てもらうことにした。