福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.129(H12/2000.2) -013/042page
連載コーナー
きざしへの気付きと初期の対応
教育センター教育相談部
127号 <不登校> 128号 <いじめ> 129号 <学級崩壊> *登場する人物はすべて仮名です。
1.河村先生の自信
教職8年目を迎えた河村先生は、英語科やバレーボールの指導で有名な先生です。今年度A中学校に転勤となり、学級編成替えが行われたぱかりの2年4組を担任することになりました。河村先生は、赴任してすぐの学年協議会で、学年主任の荒川先生から、「特に配慮が必要な生徒として、2年4組には部活動は好きだが授業離脱や喫煙を繰り返す一男と、成績は優秀だが1一年生の3学期から欠席が目立ってきた優美がいる。」という説明を受けました。これまでの経験から自分の指導法に自信をもっていた河村先生は、「学年で最高の学級にしてみせる!」という決意で、主任の説明を聞いていました。
着任式・始業式後の学級開きで、河村先生は次のように話しました。
河村; 俺のモットーは『ならぬことはならぬ!』だ。前の学校でも一番厳しかったし、この学校でも厳しくやっていくからそのつもりでいてほしい。 河村先生は「初めが肝心。生徒になめられてはいけない。」と考え、“厳しい先生”の印象をもたせようとしました。学校や社会のきまりを守るごとや、集団としてのまとまりの大切さについても、一男に視線を向けながら熱っぼく語りました。しかしその一方で、昨年度学級委員だった孝男の鋭く冷ややかな視線や、うつむいたままでいる優美の姿が気になっていました。
生活班の編成や学級役員の選出、係活動の分担など、河村先生は経験を生かして精力的に指導にあたりました。学級目標もすぐに決まり、2年生の中で最も早く学級としての体制が整ってきているように見えました。
2.離れ始めた気持ち
5月の連休明けのある日、河村先生は社会科の江川先生から、「最近、2年4組には課題未提出の生徒が増えている。服装のだらしない生徒もいて気がかりだ。」という報告を受けました。そして、その日の6校時終了のチャイムが鳴るとすぐに、家庭科の橋本先生が輿奮して職員室に戻って来て言いました。
橋本; もう先生のクラスの授業なんてやりたくない!勝手に席を立つし、いくら注意してもきかないし!