福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.129(H12/2000.2) -016/042page
生徒指導主事の中川先生からは、「4組の中で最も心配な一男については、担任と部活動顧問、養護教諭、生徒指導主事の4人がチームを組んで指導援助にあたる。どの先生も自分の授業の前後にできるだけ教室にいて、一人一人の生徒とのつながりを再構築する。」、また、養護教諭の清水先生からは、「一男はもしかしたら“LD”の生徒なのかもしれない。生育歴などの情報もほしい。」という意見が出されました。
最後に荒川先生が、「明日の1校時目に臨時の学年集会をもちたい。そこで学年の先生一人一人に今の思いを語ってほしい。いつでも誰でもお互いの授業を参観し合い、意見を交換できる開かれた学年でありたい。」と話しました。
河村先生は先生方の熱心な話を聴きながら、「自分は生徒の話を聞くということをほとんどしていなかった。すまなかったなあ…。」と振り返っていました。そして、「明日は早目に教室に行って、あの子たちと話をしてみよう。」という新たな気持ちが湧き起こってくるのでした、
学級や授業の「崩れ」、「乱れ」、「荒れ」にどう対応するか ○ 学級や授業の「崩れ(何となくうまくいかない)」、「乱れ(子どもの気持ちが先生から離れる)」、「荒れ(子どもが反発し指導を受け入れない)」は、初めは“もやもやした気持ち”や何か問題を抱えたある特定の子の、「ちょっとした行動」がきっかけになっていることが少なくありません。様子がいつもと違うような気がするときには、さりげなく声をかけたり、誰にも話せないでいる辛い気持ちや悩みごとを聴いてあげたりしたいものです。 ○ 子どもたちの変化に気づかないでいたり、いつまでも適切な対応がなされないでいたりすると、問題行動はどんどん大きくなります。「きめ細か」に、「ていねい」にかかわることが大切です。心配な子どもにこそ、「人を信じる心」や「安心感・大丈夫感」を回復できるような「あたたかいかかわり」が必要なのです。万一、問題が起こってしまったときには、「その子どもを守る」ことを最優先に、「迅速」で、「確実」な対応が求められます。 ○ 逸脱行為に対しては、「毅然とした態度で向き合う」ことが大切です。場合によっては教職員全員で問題行動の背景について理解を深め、複数の教員でチームを組んで指導援助にあたっていくことが必要になってくることもあります。 ○ 現代の子どもたちは、「親や先生に認めてもらえる“良い子"であらねばならない」という思いに縛られ、自分自身を見失っていることが少なくありません。誰にどんなふうに伝えたらいいか分からない“もやもやした気持ち”や、感じやすく傷つきやすい心をもっています。時には失敗して悩んだりする教師自身のありのままの姿も見せたり、ありのままの気持ちを話すなどして、子どもたちの心を軽くしてあげたいものです。 ○ 幼稚園、小学校、中学校、高等学校のどの学校にも、さまざまな背景をもった子どもがいます。落ち着きがない、わがまま、乱暴、感情が平板など、ちょっと変わった感じがする場合は、精神的な発達の遅れやバランスの悪さ、親による虐待などがからんでいることがあります。このようなケースでは専門の相談機関や医療機関との連携も必要になってきます。