福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.129(H12/2000.2) -017/042page
歴史学習における課題作りの在り方
〜資料内容と提示方法の工夫を通して〜
梁川町立梁川小学校教諭 纐シ 登
I 主題設定の理由
本校では現職教育のテーマ、「主体的に自然事象に働きかけ、科学的な見方や考え方を身につける理科学習」から、高学年ブロックテーマ「自ら課題をもち、自分なりの見通しをもって追究しようとする子どもを育てる授業」を受け、理科を中心に各教科において指導法の改善を行い、問題解決能力の育成に重点を置き研究を進めている。
杜会科においても同様に、主体的な学習の展開や問題解決的な学習を通して自ら追究し解決しようとする態度・能力を身につけさせたいと実践してきた。しかし、本学級においては、十分な問題解決学習が展開されていない。児童の意識調査でも、調ぺ学習は好きだが、課題に迫るために何を追究したらよいのかなど、明確になっていない児童が多いことが分かった。
これは、教師側の導入の際の教材の提示や発問の仕方、児童の指名の仕方、課題の押さえ方等の原因が考えられ、児童側には、問題のとらえ方や友達の考えとの比校・検討、自分の課題として意識を継続していくこと、資料選択や資料を読む取り熊力の不足などの原因が考えられる。
以上のことから、本学級の社会科における課国は、「学習課題を明確にするための方法をさぐり、主体的に追究する児童を育成する」ことであると考えた。
そこで、導入時における資料の提示や発問、児童の意図的指名を工夫し、話し合いをすることにより児童自身が価値ある学習課題に気づくようにしたい。そのために、課題作りにおいて、児童の五感に働きかけるような資料を単元のねらいと関連させ、内容や方法を工夫することにより、一人一人が学習課題に対する意識が明確になるものと考え、上記の研究主厘を設定した。
II 研究仮説
1 研究仮脱
児童自らが学習問題を発見できるように提示する資料の内容や提示の方法を工夫すれぱ、児童は意欲的に課題作りに取り組むことができるであろう。 2 仮説について
(1) 資料の内容を工夫するとは
統計資料、地図、写真、絵、VTR、実物等や観察したもの、見学したもの、調査したもの、作ったもの等、教師が準術した資料と児童が体験活動を通して得た、または得られる資料の2種類を単元のねらいと関連させ提示することととらえた。