福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.129(H12/2000.2) -020/042page
資料4 3 考察
(1) 課題文からの有効性について
検証授業1では、課題作りを2時問扱いとし、調べる時間を確保したこともあり、どの児童にも江戸末期から明治にかけて社会の状況等大まかな理解が図られた。疑問に思う、分からないことを調べてみようと思うには、分かること分からないこととが明確になっている必要があるのだと思われる。
検証授業2では、前小単元からの流れで、「国内から国外へと目を向けた」と予想し、それらに関する資料を提示したつもりであったが、児童の視点は「どこへ」ということと「日清・日露戦争」に集中し、それらに関連する多くのことへの課題は見いだせなかった。不平等条約については、言葉として分からないという立場で、課題としたようである。
(2) 課題意識について
検証授業1では、ノートや新聞等への表現力は、まだ十分に育っていないが、自分の課題を解決するために資料を探し、分かったことをノートにメモする姿は十分見られた。ただし、前項の課題文でも分かるように、「○○について」という表現になり、具体的にどう調べてよいのか分からない児童も少なくなかった。
検証授業2では、前回より内容的には偏りができ、資料提示の有効性は低い結果となったが課題文1とついては、調べたいことが以前より明確になってきているように感じられる。
V 研究のまとめと今後の課題
1 研究のまとめ
(1) 課題作りに時間を通り、分かりやすく身近な地域の資料から入り、まず調べることにより疑問が生じ、さらに、日本全体へと順序立てて思考していけるような資料の提示は、児童の視点を明確にでき、課題文を作るために有効であった。
また、小単元の流れの中で、児童の意識を変えるために、児童が調べたものと矛盾を感じる資料を提示したことにより、学習内容をより明確にすることができた。
(2) 自分の課題を作り、それを追究するときには意欲的に資料収集を行い、日ごろ社会科を苦手とする一部児童も自分なりの考えを含めまとめていた。課題作りの前に、分かったことや分からなかったことなどを発表する場を設けたことは、どの児童にも問題意識を持たせる上で有効であった。
2 今後の課題
(1) 資料の提示方法については、児童の思考や先行経験などをもとに工夫することは可能であるが、資料の内容については、もっと驚きや矛盾を感じるものを提示できるよう資料を開発する必要がある。
(2) 課題文を作るためには、学習内容に関する基礎的な知識や獲得した知識をもとに思考する能力の育成が必要であり、視点を設けた話し合い活動を工夫していきたい。
(3)歴史の学習の進め方の一つとして、外交・内政・文化・経済などの視点に沿って追究できるような学習の仕方を身につけさせる手法を研究していきたい。