福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -002/042page

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<特別寄稿>

日本の若者を語れるときまで

福島県教育委貝会教育長  高城 俊春

日本の若者を語れるときまで

汝の国の青年を語れ、しからぱ汝の国の将来を卜(ぼく)せん

これは、ギリシアの哲学者アリストテレスの言葉である。「トす」というのは「占う」の意であり、青年がその国の将来を担うのであるから、青年たちを見れぱその国の将来が想像できる、ということであろう。つまり、その国が将来栄えるか否かは、その国の若者たち如何にかかっているということである。

それでは、歴史的に大きな節目の年であった西暦2000年も残り僅かとなり、いよいよ21世紀が秒読みの段階に入った現在、新世紀の日本の担い手となるべき若者たちは何を考え、将来にどのような夢や希望を持っているのであろうか。

今、手許には、「将来の夢がない日本の生徒」という見出しの資料(1999年5月18日付発行「内外教育」)がある。これは目本青少年研究所(千石保理事長)と一ツ橋文芸教育振輿会(若菜正理事長)が、韓国・中国・米国・日本の中・高校生を対象に実施した「二十一世紀の夢に関する調査」をまとめた報告書である。他国の若者たちが、新世紀に対してどのような夢を持っているのか、ということの一端を、目本の若者たちとの対比で窺うことができ、輿味深いものがある。その一部を抜粋し、以下に紹介していくことにする。

(1) 21世紀の社会について〜「そう、思うか」(高校生)
〈韓国〉 〈中国〉 〈米国〉 〈日本〉
・がんなどの難病に打ち勝っている 80% 90% 85% 77%
・科学の進歩で人類は幸福になる 56% 84% 68% 35%
・国民生活は今より豊かになる 65% 85% 78% 29%
・今より世界は平和になる 43% 70% 35% 36%
・希望のある社会になる 63% 89% 64% 35%

※これを見ると、日本の高校生は「人類はより幸福に」「国民生活は豊かに」「希望ある社会に」等は、他の3か国に比して際立って低く、全体として、21世紀の社会に対する希望的見解は低くなっている。

(2) 人生の目標について〜「そう思うか」(中学生)
〈韓国〉 〈中国〉 〈米国〉 〈日本〉
・スポーツや芸術の分野で名声を得る 21% 18% 40% 20%
・素敵な異性を見つける 30% 43% 79% 39%
・科学の分野で新しい発見をする 19% 34% 22% 9%
・他人がまねできない特技を持つ 34% 28% 63% 35%
・勉強のよくできる人間になる 27% 56% 81% 16%
・自分が損をしても正しいことをする 22% 36% 49% 21%
・その日その日を楽しく暮らす 25% 64% 77% 61%
・自立した人間になる 30% 78% 43% 44%
・自分の趣味をエンジョイする 55% 63% 68% 55%
・有名人となる 19% 20% 39% 18%
・社会のために貢献する 20% 60% 47% 16%
・平凡だが円満な家庭を築く 28% 63% 72% 51%
・お金持ちになる 18% 28% 56% 25%
・高い社会的地位に立つ 11% 35% 62% 11%

※数字は、中学生の「とてもそう思う」という回答の割合で、高校生の回答もほぼこれと同


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