福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -003/042page

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様である。目本の生徒は「その日その日を楽しく」「自分の趣味をエンジョイ」「平凡だが円満な家庭」等、個人生活を中心とし、今を楽しもうとする割合が高い。米国は、他と比ぺて「他人がまねできない特技」「有名人となる」「金持ちになる」「高い杜会的地位に立つ」など、社会の中で抜きん出ようとする傾向が強い。他方、中国は「趣味」「円満な家庭」など個人生活を重視する一方、「社会のために貢献」は4か国中最も高い割合となっている。

(3)人生観について(高校生)
〈韓国〉 〈中国〉 〈米国〉 〈日本〉
・将来のことより今を楽しむことが大切だ 25% 27% 61% 65%
・努力ぱかりではつまらない 82% 43% 72% 57%
・将来の成功は今努力するかどうかで決まる 91% 90% 86% 79
・将来に夢や希望を持っている  89% 90% 95% 80

※(2)の場合同様、数字からわかるように、日本の生徒達は「今を楽しむことが大切」という回答が多い。逆に将来を考えたり将来に夢や希望を持っているという回答は、最も少ない。

これらの報告から窺えることは、総じて日本の若者は、約8割が将来に夢や希望を持ってはいるもののその数字は4か国中最も低く、人生の目標についても「その日その日を楽しく暮らす」とする者が多い、ということである。すなわち、日本の」若者は、将来よりも現在を、そして社会生活よりも個人生活を重視する傾向が強いのである。

この報告書のみから今の日本の若者たちは、将来に対する夢や希望を持つ意識が希薄である、と断じてしまうのは少々早計に過ぎる。しかし、若い時代に、自分の将来に夢や希望を持つことはその人生にとって非常に大切なことであるにも拘わらず、目に輝きも無い覇気にも乏しい巷の若者を目にする時、夢を持たない日本の若者が増えてきているのではないかと危倶してしまうことは否めない。

此の度、導電性高分子(ブラスチック)開発の業績によって、ノーベル化学賞受賞に輝いた筑波大学の白川英樹名誉教授を例にとってみると、夢や希望を持つことの大切さが良くわかるだろう。彼は、中学時代の卒業文集に「将来希望」と題し、「今までのブラスチックの欠点をとりのぞいたり、いろいろ新しいプラスチックを作り出したい。安価につくれるようになったら、社会の人々にどんなに喜ぱれる事だろう。」と書いたそうである。すでに中学時代から、社会に貢献できる科学者になりたいという夢を持っていたことが窺える。そして今、その夢がノーベル化学賞受賞という、最高の正夢になったわけである。

人間は想念の動物と言われている。念ったことは努力如何で実現可能であるが、念わなけれぱ何も実現はのぞめない。白川氏の場合も、若い時に夢や希望を如何に強く持ち続け、それに向かって努力するということが如何に大切か、ということを教えてくれている。

先日、知事と語ろう“うつくしまふくしまホームルーム”と題する催しがあった。知事が担任という想定のもと、県北10校の高校生たちと2時間にわたりホームルームを行うという企画である。参加した生徒たちの将来の夢や希望は、小学校の教師、国際線のスチュワーデス、環境科学者、整体師、看護婦、服飾デザイナー……等々、それぞれに素晴らしいものであった。その中の一つの、南会津郡舘岩村出身の生徒の夢


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