福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -009/042page
学年テーマに「『かけがえのない命』〜酒蓋池から身近な環境を見つめて〜」を掲げ、子供たちに命の尊さ、生命の連続と営みを身近な環境とのかかわりから見つめ直すことができるように学習を組織した。
そこで、「生命と環境」を横軸として各教科、総合的な学習の時間、道徳、特別活動などで扱う生命や環境にかかわる内容を縦軸としてクロスさせ、大単元「つながる生命I、II、III」を構想した。これにより、生命と環境とのかかわりを植物、動物、そして人と発展的にとらえることができるようにした。
「つながる生命II」の実践においては、酒蓋池で養殖されている郡山市の特産物「鯉」にスポットを当て、学習材として取り上げることにした。社会科の水産業、理科の魚の成長などを中心として、家庭科、図画工作科、道徳、学級活動の内容をクロスさせ、酒蓋池の鯉を追究する活動を通して人間と環境とのかかわり、命の尊さについて多面的に考えることができるようにと単元を構想した。具体的な学習活動は、次の通りである。
○ 酒蓋池の養魚場の方に、鯉や稚魚を見せていただきながら、養殖業における工夫や努力点についてのお話を聞く。
○ 郡山市の鯉について、学級を解体して課題別に追究活動を行う。
・ 鯉の性質と成長の様子
・ 郡山市の養殖業の歴史
・ 生産量や出荷先
・ 養殖の仕事の工夫
・ 鯉の料理法○ ワークショップによる追究結果の発表会を保護者や養魚場の方を招待して行う。
○ 郡山の鯉を全国にアピールする。
・ ポスター
・ ビデオ
・ 紹介文、パンフレット等V 成果と課題(対策)
(1) 成果
〈子供の面から〉
○ 身近な地域の事象から課題を設定し、フィールドワークなどの体験的な活動を通して、課題を追究する学習を行ってきたことにより、地域の実態、様子に関心を持ち、進んで地域にかかわろうとする子供が多くなってきている。
○ 調査活動を中心とした追究を行ってきたことによって、計画の立て方や資料の収集や観察・実験の仕方、分析など問題解決のための学び方が少しずつ身に付いてきている。
○ 追究したことを多様な表現方法で発表する活動を設定することによって、自分なりに工夫してまとめたり発表したりする子供が多くなってきている。
<教師の面から〉
○ 学年で指導計画を作ったり、大単元を構