福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -015/042page

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VII 研究の成果と課題

1 研究の成果

(1) 各研究部・各教科の実践から

[1] 地域素材の活用について

○ 地域の学習素材については、分野別に情報収集を行い、充実した資料の累積ができた。(地域連携部)

○ 地名の由来、民話により、生徒の興味・関心を弓1き出すことができ、生き生きとした反応が見られ、地域に対する愛着も芽生え、創作への意欲も喚起することができた。(国語)

○ 身近な素材である木戸川を観察させたことから、学習意欲が高まった。(理科)

各教科とも、地域の素材をもとに、学習課題を設定することにより、生徒の主体的な学習意欲を喚起することができた。また、学習を通して地域を見つめ直し、郷土愛の育成に貢献できた。

[2] 人材の活用について

○ 外部講師による指導・支援は生徒の主体的な学習活動に好影響を与えた。また、同一外部講師の複数回の活用により、より深まりのある学習が可能となった。(社会)

○ 特別非常勤講師による専門的なきめ細かい指導、T・Tによる個に応じた指導が充実した。(美術)

○ 興味がないと言っていた生徒が、講師の方の指導により関心が高まった。(体育)

地域の人材を活用することで、それぞれの課題を追究する上で専門的な支援が得られ、解決意欲の高まりに結び付いた。また、開かれた学校づくりの大きなステップとなった。

[3] 効果的な指導・支援について

○ 生徒一人一人に、自分の学習の見通しを持たせる時間と場を設定したことにより、具体的な学習計画を立てることができた。また、その計画に基づいて地域の人材の支援を適時に得ることができた。(技術・家庭科)

○ T・Tでの指導により、探究活動が充実し、生徒の個性が生かせた。(数学、理科)

個に応じた指導・支援により、生徒の主体性を重視することができ、一人一人の創造性を生かすことができた。このことは、学習計画の充実と生徒の課題解決に取り組む態度の変容で見ることができた。

(2) 研究成果のまとめ

本研究主題のもと、2年間の研究を推進してきた。1年次は、まだ手探り状態で、いかにして生徒が自らの課題を設定するか、また授業にどのように地域の素材・人材を活用するかなどについて研究してきた。2年次には、1年次の実践と反省を踏まえ、生徒が主体的に学ぷための課題設定の工夫、地域の素材・人材を生徒の学習にどう生かすか、特に人材の効果的な活用法の類型化など、実践的な研究をした。

これらの実践を通して、普段何気なく接していたものが素材として十分に授業に活用できることが認識され、生徒もより生き生きと活動することが検証できた。具体的には、選択授業について、「楽しい」との生徒の感想が多く、また、楢葉町に住んでいながら、いつもはあまり考えなかった自然や町の成り立ちについて深く考えることができたという感想なども見られた。さらに、人材を活用することで、その豊富な専門知識が生徒の学習への興味・関心を高め、講師の話や指導は生徒が立てた学習課題の追究に大いに役立った。授業に協力してくださった地域の方々にも、この選択授業の取り組みは好評であった。


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