福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -016/042page
研究推進体制としては、定期的に校内研修全体会を開催して研究内容・方法を絶えず協議し、共通理解を図りながら研究を推進することができた。また、指導助言者を迎えた授業研究会をすべての教科で行い、全職員で研究することで教師の資質の向上にもつながった。
2 今後の課題
(1) 研究推進から
全職員の共通理解のもと、教師の資質・能力の向上を図り、生徒に還元できる研究を進めることに校内研究の意義がある。そのために、組織を生かした研究体制を確立するとともに、適時に適切な指導者を迎えて研究授業を進めることを大切にしてきた。そして、次のような課題が浮かび上がった。
[1] 推進体制上の問題
各種行事や日常の教育活動と研修が両立するために、いかに時間を確保し、有意義な研修ができるか。そのためには、しっかりした計画とリーダーシップが必要である
[2] 推進組織上の問題
限られた教師だけの研究に陥らないように、組織を生かし研究に取り組むことが大切である。
[3] 選択教科実施上の問題
生徒の教科選択のあり方とその対応である。本年度は生徒の完全希望制であったため、教科毎の人数に偏りが出た。課題解決学習や体験的な学習を進める上で、人数の多くなった教科においてはT・Tでも対応しきれなかった。個々の学習効率を上げるためにも、対応する教員の人数を増やしたり、地域の人材を積極的に活用する必要がある。
(2) 各研究部・各教科の実践から
[1] 地域素材の活用について
地域素材の教材化については、以下の点に十分配慮して、さらに検討していく必要がある。
ア 身近なテーマであるか
イ 興味・関心が持てるものであるか
ウ 自力解決できるものであるか
エ 自分なりに見通しを持って調べられるものであるか
オ 作業的・体験的な活動を含むものであるか
カ 自ら調べ、発表できるものであるか
キ 多様に考えられ発展性のあるものであるか
ク 課題解決を通してさらに地域への関心が高まるものであるか
[2] 人材の活用について
人材リストの蓄積を一学校としてではなく、隣接学校と協力して行っていく必要がある。また、地域人材の授業への協力・参加を一層推進するためには、学校だけで取り組むのではなく、その地域(市町村)として組織を作っていくことが必要である。
[3] 効果的な指導・支援について
多様な学習活動を取り入れた授業実践をする前提には、学び方を学ばせる場面が必要である。発表の場面において、言いたいことが十分に相手に伝わらないこともあった。また、T・T指導や人材を活用した指導の場合、学習のねらいに沿った指導・支援のあり方や学習内容の共通理解、評価活動等、事前打ち合わせを密にすることが大切である。
最後に、本研究を通して、「生徒の学習の場が学校の内から外へ」、「学習を導く人間が教員のみから学校をとりまく人々を含めた方へ」、「生徒の学習課題が与えられたものから自ら設定するものへ」と変わってきた。