福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -021/042page
の声をかけていました。一学期末、授業のざわつきに気付いてからは連絡を取り合ってきていましたが、清水先生からはいつも「だいじょうぷです。」という返事でした。
教頭は生徒指導主事も交え、今後の対応等について、話し合いを進めました。
翌々日の放課後。学年主任は、社会科準備室に出向き、清水先生に話しかけました。
学年主任: 今日は元気がないようだけど、何かあったんですか。 清水: ……は、はい……。 学年主任: ……、よかったら、話を聞かせてくれませんか。 教師失格と見られる不安や先生方に迷惑をかけて申し訳ないという思いから、「自分で何とかしよう」としてきた清水先生でしたが、優しいまなざしでうなずきながら話を聴いてくれる学年主任に、一人で抱え込んでいた悩みを打ち明けました。そして、話し終えた後は、胸のあたりが少し軽くなっていました。
「これからはみんなで考えていきましょう。」清水先生は学年主任の言葉に背中を押され、前に一歩踏み出せたように感じ、明日の学年会でいろいろ話してみようと思いました。
3 学年会の話合い 〜清水先生の気付き〜
翌日、臨時の学年会では、まず清水先生から学級の授業の様子が話され、その後、先生方の意見交換が行われました。
学年主任: 先生方、2組の授業はどうですか。 数学教諭: 普段はあんまりやる気を感じないんですが、活動内容によっては活発に取り組みますね。 国語教諭: 他のクラスもなんですが、何かこれまでの生徒と違うって感じで……、 授業の仕方とかいろいろ工夫しています。
学年主任: 中山君の行動が気になりますが、彼の普段の様子はどうなんでしょう。 清水: カッとなることが多いです。それから……。 1年担任: 去年、中山君を担任してたんですが母親は一人で話しまくる人で、家で は無口でとても静かだそうです。 養護教諭: この間捻挫して保健室に来たんですが、その時ずいぷん不満を言ってま した。友だち関係が大変みたいです。 学年主任: 生徒も勉強や部活動、塾と、時間も気持ちもゆとりがないんでしょう…。 学年会では、今回の授業の乱れをどの学級でも起こり得る学年全体の課題としてとらえ、生徒の変化に対応するため、次のことを実践していくことになりました。
・担任は、生徒と授業以外でも触れ合いの時間を多くもち、一人一人の理解に努めていく。事務的な仕事は、副担任も協力していく。
・授業や生活の中で生徒が努力したことを積極的に認め、称賛していく。きまりを破ったこ