福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -026/042page
(キャラクター設定ボード・観察)
ウ グループ活動での制作を通して、生徒一人一人に成就感を味わわせることができたか。
(事前事後意識調査・観察)(2) 指導の概要
[1] 検証授業[1]について
ア アニメーションが導入の段階(感受・着想)で生徒の意欲を高める題材であることは、生徒を取り巻く環境からある程度予測できた。そこで、興味・関心をさらに喚起するために、多様なアニメーションを鑑賞させた。
イ 本題材においては、構想段階が、授業の一つの山場になる。そこで、本時は、その前段階であるたくさんのアイデアが出やすい場の設定であるが、ここでは、小集団活動の育成の側面から男女混合を基本とした。
ウ グループ活動を「制作会社」という形態をとることにより、集団での活動を意識させた。この際、美術の得意な生徒がリーダーシップをとるということではなく、各自の得意な内容で制作に貢献することを強調した。
〔構想段階での作業風景〕 [2] 検証授業[2]について
ア 多くのアイデアの中から、話し合い活動によって、中心となるキャラクターを設定した。その際、生徒にはキャラクターそのものの魅力だけではなく、制作意図(この場合は粘土による作品であること)やシナリオとの関係を意識させた。ただ、あまり厳密に設定させることなく、シナリオやキャラクターについては、柔軟な変更が可能であることも付け加えることにより抵抗なく話し合いが出来るように配慮した。
イ 話し合いの中で分類した各キャラクター用紙は、アイデアボードに貼り付ける時点で再検討するようにし、レイアウトを考えて整理しながら貼り付けるように説明した。また、その際に新たに浮かんだキャラクターや絵コンテのアイデアも追加するように説明をした。
〔アイデアボード〕 ウ グループの構成については、一様ではないので、この段階において、進度や話し合いの方法について適時支援した。作品制作への取り組み方に着眼し、特に制作過程での重要な「構想段階」でコンセプトの取りまとめ活動(キャラクター、絵コンテ・シナリオ製作)によって「構え(企画力・構成力)」を身に付けさせた。また、個性を集団の関係で再認識するために、グループ制作のなかで個々の能力の差異を認め合いながらコミュニケーションを図るよう工夫した。
4 考察
(1) 題材について
この学年は、前題材で彫刻を経験しているので、粘土による制作については、抵抗は少なかった。また、粘土の性質も前回のものとは違っていたため、興味を失うことはなかった。それよりも自分たちの作品に動きが出ることに興味・関心が非常に高かった。生徒の感想にはマイナスの反省もあるが、一様に、次回同様な題材に取り組んだときには新しいアイデアや改善しようとする意識をもっていることが伺える。