福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -031/042page

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教材によって、科学的な思考の度合いに差はあるが、「あてはまる」・「だいたいあてはまる」の評価が、80%を越え、生徒の評価が高いことから、科学的な思考が有効に働いたことがわかる。

(2) 教材の活用と思考活動の程度

「思考活動の程度」の変容
「思考活動の程度」の変容
グラフは、「思考活動の程度」の各項目ごとに平均値で事前と事後の各段階の変容を示したものである。

グラフから、授業を重ねるごとに思考活動が活発になっていることがわかる。特に「課題の把握」と「結果の予想」の項目が高い。これは、製作中に直面した疑問を解決すべき課題と捉え、結果を予想しながら実験に取り組み、問題を解決する学習の展開によるものと考える。

また、科学的な思考が働くことにより、これまでの生活経験と新たな知識が相互に関連付けられ、自分の考えとしてまとめることができたと考える。このことが、「結果の考察」や「まとめ」の項目の伸びに表れている。

以上のことから、科学的な思考の要素に着目したこれらの教材を用いた学習を、「テーブルタップ」製作活動の過程に位置付けることで生徒の思考活動を活発にすることができた。

(3) 生徒・授業者の感想

次は、それぞれの教材を活用した実習に対する生徒の感想の一部と、授業者の感想である。

生徒の感想
[1]許容5流実験装置

・芯が赤くなって熱くなるのがよくわかった。
・細い芯だけど、芯1本の重要性がわかり、1本も粗末にできないと思った。

[2]発電モデル装置

・電気回路には、負荷が必要なことがわかった。
・となりの線に接触するだけで、大きな電流が一瞬のうちに流れることが実験でわかった。
・家でブレーカーが落ちたが、今日その理由がわかった。

[3]配電線モデル装置

・小烏が感電しない理由がわかり、長年の疑問が解けてうれしかった。アースは必ずつなぐようにしたい。
・アースの役割が大切なことがわかり、家に帰って見てみたいと思った。家の人にもアースの大切さを教えたい。
・豆電球を使ったモデルで、とてもわかりやすかった。

[4]電気回路設計装置

・抵抗器の役目がよくわかった。
・抵抗器の勉強をして、ラジオなどの音量調節にも使われていることに気づいて感動した。
・直列と並列の違いがこんなに大きいものとは思わなかった。

[5]待機電力測定装置

・中間スイッチは無駄な電気を無くすのに便利だと思った。
・コンセントを差しておくだけで無駄な電気を使っていることがわかり、少しショックだった。これからはこまめに抜きたいと思う。
・知らずに使っている電気の量が多いのにびっくりした。

授業者の感想
テーブルタップの製作を通して、生徒から自然に疑問や課題が発生し、それを実験や実習で解決することで、より意欲的に学習を進めることができた。特に、実験中の生徒の目の輝き、驚きの表情は印象的である。シンプルな教材であるがそこには電気の基本的事項を学べる様々な要素を含んでいると感じた。

(4) 成果

テーブルタップに発光ダイオードや中間スイッチを付け加えることにより、製作体験を通しながら、電気領域を幅広く問題解決的な学習で展開できた。

製作活動の中で生じた疑問を取り上げ、実証しながら解決できる教材を提示することは、課題を把握し結果を予想したり、考えをまとめたりする思考を促し、知識や技術の獲得に効果があった。

*本研究にあたっては、保原町立桃陵中学校の原田博司教諭に授業実践、資料提供のご協力をいただいた。


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