福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.131(H12/2000.11) -032/042page

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研究紹介

メディア社会に主体的にかかわる力を育成する
         「映像メディア表現」の教材開発

〜ムービー・メッセージの制作を通して〜

教育センター長期研究員  佐藤 英之

I 研究の趣旨

1 学習指導要領の改訂と現代の視覚文化

平成11年3月に告示された高等学校学習指導要領の普通教育に関する芸術教科の科目、美術I、II、IIIの表現領域に、従来の絵画、彫刻、デザィンに加え、「映像メディア表現」という新しい分野が加えられた。また、同改訂において、中学校美術科では、新たな表現手法やメディアの活用を示し、美術教育の枠組みの拡大が図られた。

表現領域における分野の改編
現行の学習指導要領
●絵画
●彫刻
●デザイン
新学習指導要領
●絵画・彫刻
●デザイン
●映像メディア表現

これは、美術教育を現代社会の視覚文化に積極的にかかわらせていくという方向性を明確に指し示したものであり、画期的な改編と受け止められている。

これからの美術教育には、現代の社会に必要とされる、ビジュアルな表現能力の育成やメディア・リテラシーの獲得も期待されている。

美術教育の枠組み
美術教育の枠組み

2 新しいメディアと教材開発

「映像メディア表現」の分野においては、今後様々な教材が開発されると思われるが、「高等学校学習指導要領解説芸術編」では、その学習内容がより具体的にあげられており、写真やビデオ、コンピュータ等の機材が、その中心的なメディアとして位置付けられている。また、これらを利用した、動的、時間的、物語的な手法や、画像と音声の併用などを考慮した表現の構想が、指導のポイントとして示されている。

本研究では、ビデオカメラとコンピュータを用いた映像作品の制作に的を絞り、その教材開発をとおして、「映像メディア表現」の可能性や課題点、また、メディア・リテラシーとのかかわりについて検証し、考察を深めていきたいと考えた。

II 教材開発の視点と授業の実際

1 題材提示と大テーマ(キーワード)の設定

今回は2学年の選択授業2クラスにおいて授業を実践することにした。両クラスとも5つの制作グループで編成し、各グループは生徒2〜3名で構成した。

準備段階として、演習活動の中で、コンピュータによる映像編集のシステムを大まかに理解させた。その後、題材名を「ムービー・メッセージ」と提示し、自分たちの考えやイメージを相手に伝えることを目標において、1〜2分程度の映像作品にまとめ上げることとした。

テーマは、映像の軸といえる動的、時間的要素を意識して制作させるように、「躍動」と


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