福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.136(H14/2002.7)-012/036page

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教育相談チーム
  連載 『実践 学校教育相談』


保護者との相談で悩んでいませんか?

〜保護者相談の7ステップ〜


保護者の思いを聞くだけ、教師の思いを伝えるだけの相談になってしまったことはありませんか。保護者と教師が共に知恵を出し合う相談の在り方について考えてみましょう。

 <事例> あきら君の母親からの相談

あきら君は、小学校5年生。やや太り気味の体型です。どことなくおどおどした様子が見られ、表情の乏しさも感じられます。

担任の青山先生は、30歳代半ばの女の先生です。子供たちの様子が分かるにつれ、あきら君の様子が気になっていました。

ある日のこと、あきら君が母親の書いた手紙を青山先生に届けました。
「青山先生、いつもお世話になっております。
あきらのことでご相談したいことがあるのですが、先生の都合のよい日を教えていただけないでしょうか。」
どのような相談内容であるかは分かりませんでしたが、3日後に学校で話を聞くことにしました。

来校した母親は、礼を述べた後、次のように切り出しました。
「少し長くなりますが、よろしいですか。」
青山先生は、一瞬「えっ。」と思いましたが、母親のために放課後の時間を確保していましたので、
「構いません。どんな話ですか。」
と答えました。
すると、母親は、あきら君が生まれたころのことから順々に話を始めました。
「実は、あきらが生まれたころは、夫の仕事がうまく行かず、金銭的につらい時期でした。夫は、毎晩酒を飲んで帰ってきて……。」
保護者との相談 母親は、夫や姑との関係で自分が苦労したこと、それがあきらの性格に影響を及ぼしたと心配していること、低学年の担任の先生が親身になってくれなかったこと、家庭でのわがままに困っていることなど、時には涙を流し、時には怒りをあらわにしながら話すのでした。

青山先生は、「長くなっても構わない」と言った手前、話を遮ることもず、相づちを打ちながら最後まで聞いていました。2時間近く経過したころ、母親は子供をよろしくお願いしたい旨を伝え、すっきりした表情で帰っていきました。

母親が帰った後、青山先生は疲れがどっと出て、しばらく椅子に座ったままでした。
「ああ、疲れた。それにしても、長かった。でも、お母さんは、何を相談したかったのかしら。」



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