福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.136(H14/2002.7)-023/036page
「課題に対し自分の意見を持たせ社会的な思考力・判断力を高める指導」
〜ディベート的な話し合い活動の導入を通して〜会津若松市立第一中学校 教諭 植 村 信
T 主題設定の理由
本校では、「望ましい社会的態度を身につけた世界につらなる一中生」の育成を総括目標として、教育活動の実践に努めている。本年度の努力目標の一つに、「個性を生かす授業の改善を図り、学力の向上に努める。」が挙げられ、教科指導に視点をあてた『基礎学力の向上』について研究を推進していくことになった。
本年度4月に実施した、対象学級の標準学力険査の結果を分析すると、全国平均を下回っており、社会科の基礎学力の定着を図る手立てを講じていく必要性を強く感じた。そこで、教師が社会科の授業の質的な改善を図り、生徒の基礎学力の向上を図るため、その原因を探ることを目的に対象学級の生徒にアンケート調査を実施した。その結果をもとに次のように考察した。
○ 予測したほど生徒は社会科に対して苦手意識を抱いていない。
○ 公民的分野を苦手としていること、社会科は覚えることが多いので不得意であると思っている生徒が多いことが分かった。
○ 自分の考えを述べることを苦手としている生徒が比較的多い一方で「班ごとに話し合って意見を出す学習」を楽しいと挙げている生徒もいた。
○ 社会科に対する知的好奇心を持っている生徒が意外に多く、調べることや知らないことを知ることができたときに学習の喜びを見い出す生徒が比較的多いということが分かった。そこで、次の5点を指導のねらいとして本研究主題を設定した。
@ 生徒の興味・関心を高めるための資料の提示を工夫すること
A 意欲的に取り組む調べ学習を充実させること
B 生徒一人一人の思考・判断及びその推移を尊重すること
C 苦手としている自分の意見を述べる力を育成する学習活動を導入すること
D 基本的な事項を定着させるために、単元及び授業の構成を工夫すること。
U 研究仮説
1 仮説
単元を通した魅力ある課題を設定し、課題を解決していく過程においてディベート的な話し合い活動を導入し、自分の考えを裏付ける調べ学習において、教師が適切な支援を与えていけぱ、社会的な思考力・判断力が高まるであろう。