福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.136(H14/2002.7)-024/036page

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2 仮説のための理論

(1) 「単元を通した魅力ある課題」とは

単元を通した課題解決的な学習で単元を構成し、次の点を考慮に入れて魅力ある課題を設定する。
 ア ディベートの題材となるもの
 イ 生徒の興味・関心を喚起するもの
 ウ 生徒の課題追究意欲が持続するもの
 エ 公民的分野の特質を踏まえた現代社会における話題性や即時性があるもの

(2) 「ディベート的な話し合い活動を導入」とは

ディベートは、ふつう「討論」と訳されるが、「ルールある大論争」「知的スポーツの論争」であり、二つの相反する立場からスピーチで争うことである。本研究では、社会的な思考力・判断力を高めることを目的とするため、ルール性を強く求めない理由から「ディベート的な話し合い活動」という名称を用いた。課題を解決していく過程で、当活動を導入する理由として、
 ア 課題意識を持続させ、課題に対する生徒一人一人の思考・判断及びその推移を尊重すること
 イ 既習事項を踏まえさせることにより基本的な事項の定着を図ること
 ウ 課題解決的な学習の解決を図る手立てとすること
 エ 課題に対する主体的な考えを持たせ、それを裏付ける調べ学習を通して学習を深化させること
 オ 当活動を通して、多面的、多角的な見方や考え方を持たせること
を考えた。

(3) 「教師の適切な支援」とは

生徒の社会的な思考力・判断力を高めるために、教師は次の方法で支援を与える。
 ア 思考に必要な資料を準備すること
 イ 調べ学習に必要な時間を十分確保すること
 ウ 生徒一人一人の思考・判断及びその推移を把握していく方法として、「名札マグネット」を使用すること、そして、その推移の根拠を持たせること
 エ 十分な支援を与えていくためT・Tで指導にあたること

(4) 「社会的な思考力・判断力」とは

新学習指導要領移行期にあたり、新学習指導要領社会科の目標「広い視野に立って、社会に対する関心を高め、諸資料に基づいて多面的・多角的に考察し、」を受けて、資料を適切に収集、選択、処理、活用し、それらの資料に基づいて考察・判断する能力を社会的な思考力・判断力と捉えた。その基盤は、生徒一人一人の課題に対する主体的な考えであり、資料に基づいてその考えを深めていく学習やその考えを基にしたディベート的な話し合い活動において教師が適切な支援を与えていけば、社会的な思考力・判断力の育成が図れると考えた。

 

V 研究計画

1 研究内容・方法

(1) 単元を通した魅力ある課題設定の工夫
(2) 生徒の社会的な思考力・判断力を高めるための教師の支援の方法
(3) ディベート的な話し合い活動の導入と生徒の社会的な思考力・判断力の育成についての有効性

2 研究対象

3年5組 35名(男子17名、女子18名)


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