福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.136(H14/2002.7)-027/036page

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賛S2 「アンケートに答えた年に数回、俳句の会で訪れているおばあちゃんは、あんないい鶴ケ城にただで入るなんてもったいないと言っていました。」

イ 賛成側→反対側への質疑・応答

賛S1 「草むしりだけでなく、石垣の整備や設備維持には莫大なお金が必要になってきますが、市民のボランティアだけではできないと思うのですが。」
反S3 「鶴ケ城を守るのは、会津人の自覚が必要だから、できるところはボランティアで行い、お金がかかるところは市税を使うべきだと思います。」
賛S3 「市税を上げるということですか。」
賛S4 「それに付け加えて、市民の生活を考えると増税はむずかしいし、市の財政状況を考えると鶴ケ城のために支出することはできないと思います。」
反S2 「その都度払うより税金として納めた方が納得がいくと思う。」

(3)考察

@ 単元を通して生徒の思考・判断がどのように変容したか。

 ア 名札マグネットは生徒の思考・判断の変容を把握していく上で有効な方法であるとともに課題に対する興味・関心を高揚させる手立てにもなる。

 イ 学習の過程で立場が変わったり、考えが深まったりした様子を学習で獲得した知識とともに、自己評価表を通して把握することができた。

A ディベート的な話し合い活動の導入は、生徒の社会的な思考力・判断力を高めることができたか。

 ア 生徒の自己評価、『自分の考えを深めることができたか』に対し、『できた』と答えた生徒は全体の93%を占めた。しかし、授業の感想の中に、ディベートを通して立場が変わったり、相手の意見を尊重したりするような記述がなかった。つまり、自分の考えを相手に説得するために深めることはできる反面、立場の異なる人の考えを受容できない、受容しようとしない姿勢が見られる。ここにディベートの長所と短所があると言える。

 イ 授業後にFC法でrディベート的な話し合い活動の導入の有効性』を視点に研究協議会を開催した。そこでは、自分たちの意見を裏付ける調べ学習が充実していたために意見に説得力があった、時間の都合上止むを得ないが、質疑・応答にもっと時間をかけることができたら、議論が活発になって思考力・判断力が高まるだけでなく、相手の意見を尊重したり、多面的・多角的に思考・判断することもできたのではないか、などの意見が出された。つまり、立論に至る調べ学習と資料作りそのものが生徒の社会的な思考力・判断力を高めていく学習になっているが、一方で、「ディベート』の取り扱い方によっては、ルールやゲーム性に思考力・判断力の高まりを阻害する一面があることが分かった。

B 社会科に対する意識を事前と事後にアンケート調査を実施し、どのように変容したか調べる。

 ア 社会科を苦手としている生徒は依然として3割程度いるものの、得意とする生徒が著しく増えている。
その要因として、公民的分野において、6


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