福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.136(H14/2002.7)-028/036page

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月に比べ得意とする生徒が著しく増えたことを挙げることができる。

【資料−4 社会科は得意ですか】
アンケート結果

イ 現在学習している公民的分野の学習課題に対する関心が高まっていること、自分の考えを述べることを苦手とする生徒が少なくなってきていることは、ディベート的な話し合い活動を導入した成果であると考えられる。

【資料―5 得意な分野は何ですか】
アンケート結果

ウ 生徒の本授業の反省・感想を書かせたところ、全員の生徒が今回実施したディベー卜学習は、楽しかったと答えている。その感想としてディベー卜というゲーム性だけでなく、調べたこと、資料を作成したこと、意見を述べたこと、友達の意見を聞くことができたことなどを挙げている生徒が多く見られた。これらはこの学習課題に対して積極的に関わる、論拠を示す資料を収集しそれを活用する技能と表現する力を身に付ける、社会的な思考力・判断力を身に付けるという社会科に求められる能力や技能に関係するものであり、この授業を通して、生徒にそのような能力を身に付けさせる学習ができたと言える。

 

X 研究のまとめ

(1) ディベート的な話し合い活動の導入は、生徒の思考力・判断力を高める有効な学習活動の機会になるが、次のような要件が必要である。
 ア 生徒にとって魅力ある課題(論題)を設定すること
 イ 生徒の思考・判断の推移や変容を尊重していくこと
 ウ 自分の考えを裏付ける調べ学習を充実させること
 エ 教師は生徒の調べ学習に適切な助言と積極的な支援を与えること
 オ 何でも話し合える学級の雰囲気を醸成すること

(2) 自分の考えを持ち、述べるところに社会科の醍醐味がある。本学習では、生徒一人一人が個々の視点で調べた統計資料やアンケート結果など客観的な事実に裏付けられた資料をもとに自分の考えを述べる活動が展開できた。

(3) ディベートには、自分の考えを深めることができる反面、ゲーム性という側面があるために、異なった立場の意見を受容しないことや説得力のあるチームの意見がその論題に対する全体の意見として受け止められてしまうという短所があることを踏まえなければならない。したがって、取り扱う論題を慎重に設定したり、改めて時間を確保して主張された各意見を冷静に多角的に考察する機会を設けてディベートを振り返らせるなど工夫する必要があると考えた。

※参考文献
○ 中学校指導書 社会編  (文部省)
○ 平成12年度 研究報告書 ―教育研究法講座―  (福島県教育センター)
○ 個に応じた指導方法の工夫改善  (福島県教育庁義務教育課編)


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