福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.137(H14/2002.11)-008/036page

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2 総合的な学習をどう創り上げていくのか

私が先生方にお勧めしたいもう一つのことは、テーマ設定ということです。総合的な学習は、イギリスのトピック学習やアメリカのプロジェクト学習で行われています。そこに一つのヒントがあります。

イギリスの例で説明します。どのようなテーマを見つけていくのかというと、ウェッビングという手法で、蜘蛛の巣状に、取り上げたいことを書きだしていくのです。

例えば、「テディベア」というおもちゃの例です。テーマとして「テディベアのピクニック」、「音の出るおもちゃ」などがあがってきます。追究していくテーマ、つまり具体的に追究するものをトピックといいます。「おもちゃのコレクション」とか「おもちゃを作る」とか「昔のおもちゃ」というふうに、どんどんつくっていくのです。

「テディベアのピクニック」だったら、「今度テディベアと一緒にピクニックに行くことになりました。お天気が悪くともスケジュールをつくりましょう。じゃ、お父さん、お母さんと一緒に行くために案内も作りましょう。もし雨が降ったらどうするかそれも考えましょう。そのピクニックが終わった後は、実際その記録を作りましょう。絵本にしましょう。」といった活動をどんどんつくっていくことをトピック学習と言います。イギリスのトピック学習は、稲垣忠彦先生の『総合的学習を創る』(岩波書店)に詳しく紹介されています。

これを先生方もやってみるといいと思います。つまり、総合的学習は、教師がそのテーマを基にして、どういうような学習の広がりがあるかということをきちんとつかんでおかなくてはいけないということです。そうしないと学習が表面的なことに終わってしまう危険があります。

国際理解で取り上げるべきテーマもいくつかあります。一つは文化項目を取り上げていくことです。それから相互依存関係のようなものを取り上げていくことが二つ目です。三つ目は地球規模の様々な問題(グローバル・イッシュー)、例えば、世界の南北問題、人ロの問題といった世界に共通する問題を取り上げていく。そして、第四が共生を取り上げていくことです。これが国際理解で重要な四つの柱といわれています。

こうした内容を取り上げるときに留意したいのは、学習の広がりを先生方が把握しておく必要があるということです。また、総合的学習では、先生の課題意識と子供の問題意識がはっきりしていないと、学習の広がりも深まりもでてきません。ただやればいいというものではありません。先生方の課題意識に支えられているのです。例えば「グローバル・イッシュー」にかかわるテーマは、先生方の課題意識がきちっとされていることが条件です。つまりこのテーマだとどのような広がりを持つのかということを、先生ご自身の中で把握しておく必要があり、そのためにもテーマを設定し、そのテーマについての広がりをあらかじめ把握しておくことが大切になります。

また、ウェッビングをすることで、適切な指示ができるようにもなります。例えば、あることを調べたいというグループがでてきたら、「じゃ何でもいいからやりなさい。」ということでは学習の広がりや深まりはでてきません。そのテーマについてウェッビングを作成し、それをもとに議論させていくのがいいのではないか、その前提として先生方ご自身がウェッビングのようなものをやっておけば、先生ご自身が子供に的確にアドバイスしていける、そうするとただ調べるのではなく、これだったら実験がいるとか、こういう人にインタビューしたらといった的確なコメントができるのです。

このように、総合的な学習の実践の第一のポイントというのは、テーマの広がりを先生方ご


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