福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.137(H14/2002.11)-009/036page
自身にも、子供自身に持たせて、見通しを持っていくことです。テーマが絞り切れていないと、その後の調べ学習がうまくいきませんね。
二つ目のポイントは学習活動をどう作っていくかということです。総合的学習を見ていくと、興味関心を持たせていく段階、テーマ探しの段階、調べ学習の段階、あるいは交流や体験したりする段階、そしてまとめの段階があり、最終的に発表するという段階が一般的な授業の流れになっています。おおよそ総合的な学習はこのようにパターン化してきました。このパターンを簡潔にまとめてしまうと、主題、探究、表現というようになります。
ただ、大切なのは、子供たちにとって、この興味・関心、テーマ探し、そして調べ学習、交流・体験活動、発表の各段階が子供たちの中で意味のある活動になっているかどうかということです。
調べ学習や体験したことから発表させる学習を深めていくためには、調べたことについて、先生方や子供同士で学習を振り返り、もう一度調べ学習を行わないと、個々の学習の深まりがつけられないということです。
基本的にはこの流れに沿っているわけですが、この時にいくつか実践をしていくためのポイントがあるはずです。次のことを考えてみたいと思います。
3 総合的な学習の深まりをつけるために
みなさんは、「アクチュアリティ」という言葉をご存じですか。これに対応する概念はvsリアリティです。現実であっても子供が本当にのってくるのかどうか、飛びついてくるのかどうか、自分のものとして学習する必然性があるのだろうか、それが子供にとってどれだけ学習する必然性があるかどうかを指す言葉です。
この「アクチュアリティ」をつける上で、一番大事なのは素材選択です。環境学習の例で説明します。
環境学習に3年間取り組んだ学校がありました。最初の年は、環境学習では「リサイクル」ということが大切なので、そのことを子供たちに一生懸命教え込んでしまいました。そのため、学習が建前的になってしまったそうです。つまり、自分たちの生活とはかけ離れた学習を展開したわけです。
2年目は、その反省から子供の学習を重視しました。それは、「リサイクルセンター」に子供が出向き、ゴミの仕分けを自分たちでしました。でも、それ以上の広がりが持てませでした。
そこで、3年目は先生方が工夫を始めました。素材にペットボトルを使ったのです。生活をしていて、何が便利か、ビン、カン、そしてペットボトルの便利さがでてきました。そこで次に、リサイクルの話を出します。ペットボトルは、大変リサイクルが難しいということが分かってきます。そこで、子供たちは、生活の便利さとリサイクルについて、考えていくというものです。初めて、子供たちは、リサイクルの意味を知るようになったわけです。
これは、素材選択の時に、生活素材をもとにして、いろいろと興味・関心を持たせていく工夫をして授業を進めた例です。生活素材に注目したからこそ、学習に広がりと深まりがでてき