福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.137(H14/2002.11)-010/036page
たわけです。
これが実際に先生方が授業を組んでいくときの大きなポイントになっていくのではないかと思います。次に、地域素材の取り入れ方の例を示しましょう。
鳥取の学校で砂地の農業という学習に取り組んでいました。「なし」の授業です。おもしろいのは子供たちに「なし」の剪定をさせたり、いろいろな体験をさせているのですが、それが大変科学的なのです。摘花、何で花を摘まなければならないのか、実がなると4つを残してみんな取ってしまう、最後は2つだけ残して、さらに最後は1つだけ残す、なぜなのかということを子供が説明しているという授業でした。子供たちは農家を訪れ、実際に見聞きし、体験したことをもとに学習を進めていました。地域素材をうまく取り入れているということなのです。こうすると子供が乗ってくるのです。 生活素材や地域素材は、地域の中にいっぱいあります。そういうものを、取り上げることがとても大切だということです。
それから、調べ学習で最近多いのがインターネットの利用です。インターネットを使い、検索してぺージを見つけ、プリントアウトして、貼り付けて、発表して、終わりという授業です。調べ学習や交流というのは、ただ調べる、体験するだけでいいわけではありません。
情報検索と交流ということを関連させて取り組んでいる学校がありました。山形県の鳥海小学校という複式学級の学校です。全校児童24人だそうです。
そこで、何をやったのかというと、ナイロビの日本人学校と交流をしたのです。ナイロビの日本人学校というのは、小中学生合わせて40人です。
鳥海小学校のある地域は、そばが特産だそうです。ナイロビの方は主食がウガリというとうもろこしの粉です。それをお互い交換し合って、それが何か当ててみようということから出発しました。その後、鳥海小学校はウガリの種子を送ってもらい、そばの種子をナイロビの日本人学校へ送ったのだそうです。それをもとにどのようにしたらそれが育つか、そして成長の様子を観察し、交流しあったわけです。植え方や育て方を交流しながら、つまりインターネットを介しながら実際に共通するテーマを見つけて、いろいろな交流活動を組んでいくわけです。こうした追究共同型で交流を進めたのですが、当然山形ではウガリはうまく育ちません。そこからなぜなんだろうかと疑問を持ち、初めて子供たちが気候だとか風土だとか文化だとかいうようなものに興味を持つようになっていきました。子供たちは、再度、調べ学習と交流学習に取り組み、その育て方を交流を通して学びあっていきました。ナイロビの日本人学校から、育て方を教わったのです。もちろん、ナイロビでもそばを栽培したわけです。植物の栽培という共通の目標を持って交流を行っているわけです。インターネットを介した大変おもしろい取り組みだと思います。こうしたインターネットの活用はいいですね。
調べ学習の質を高めることはとても大切です。冒頭の高齢者の実践でいうと、特別養護老人ホームの訪問をさらに一歩進めたとき、子供たちがさらに市役所に行っていろんなものを調べていく、年金の在り方とか介護について調べていくというように発展していきました。
このように学習の深まりをつけるための工夫が必要なのです。中学校の事例でもう少しこのことを考えてみましょう。これは、発展的な調べ学習を仕掛けた例です。
東京足立区の中学校で「世界で一番受けたい授業」という本を書いている、リクルートに勤めていた藤原和弘さんが授業をやったのです。「ハンバーガーショップを作ろう」というシュミレーションの授業をやりました。自分でハンバーガーショップを出しなさいということで、実際のシュミレーションをするわけです。実際のシュミレーション