福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.137(H14/2002.11)-011/036page

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をしていくためには、どんなものを調べる必要があるのかということで、生徒自身による情報の取捨選択が始まるのです。

例えば、駅前に作る、ところが駅の乗降客はどれくらいあるのかとか、年代別はどれくらいなんだろうか、というように自分たちに必要な情報を取捨選択してきます。そして、その傾向を把握する、例えばこういう年齢層であれば食べるはずだ、だからここに必要なんだという仮説を創り上げていったのです。

この取り組みは、テーマが明確でなければ調べ学習というのもあまり意味がないことを示しています。実際の授業では、調べていく際のテーマが明確であるかどうか、比較する基準を自分の中に持っているかどうかということが大切です。これを仮説といっています。

総合的な学習では、子供がきちんと仮説を持っているかどうかが大切です。つまり、総合的学習の学習活動を組織していくときに、こういうことを調べればいい、たぶんこうなるのだなという子供の中の思いのようなものがはっきりしていることが、学習を効果的にしていくということです。

また、子供の学習の振り返りも重要です。例えば、発表について考えてみます。これは、テーマ、主題があり探究があり、それを表現していくということです。その時には、自分の学習を振り返る「内省」が必要だということです。表現するということは、自分を振り返るということです。自分を振り返っていくことと同時に、友だち同士でいろんなことについての意見を交換しあうということも発表では大切です。この振り返りと交流を通した成果の吟味ということを可能にすることで、学習の深まりがつけられるわけです。

これまで述べてきたことを整理しましょう。一つ目は、興味・関心やテーマ探しのときには、素材が子供たちにとって身近な物、自分との関わりができるものを取り上げるということです。そのことによって子供がその学習に興味・関心を持ちテーマを探していけるのです。

二つ目は、調べ学習の深まりをつけていくためには幾つかの工夫が必要だということです。

調べる活動であれば、その情報を取捨選択して関連付けたり、その傾向を把握したりするような、仮説をつくる仕掛けや活動をきちっと組み込んでいきましょうということです。

さらに交流も学習の広がりと深まりをつける上で効果的です。その際、何か共同でやれるような活動を仕掛けていくということも大切です。

また、発表の時には自分を振り返ることと友だち同士で意見を交換し合うような場を作ることで学習の深まりをつけていくということです。
総合的な学習の深まりをつけるために

 

4 総合的な学習の評価について

次に、評価についてお話します。総合的な学習では、総括的評価と形成的評価両方とも必要ですが、とりわけ形成的評価を重視していく必要があります。

一番簡単な方法から話をしましょう。総合的な学習の流れの各段階、例えば、興味・関心を持つ段階では、子供たちがどんなところに興味・関心を持ったかをきちんと把握する必要があ


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