福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.137(H14/2002.11)-012/036page

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るということです。そのためには、形成的評価が必要であり、具体的には、子供にノートにまとめさせていくことです。興味・関心を持つということをあいまいなままにテーマ探しに入ってくると、テーマが探せなくなるのです。だから子供なりにどれだけ興味が持てたかということを必ずノートに取らせていくのです。

テーマ探しでも、テーマについて、個々の子供にノートにまとめさせることです。また、調べたこと、工夫して分かったことをノートに取らせていくということです。

子供たちが理解するということは、受信型理解から発信型理解へと理解の度合を深めていくことです。聞いてなんとなく分かるのが受信型理解といい、人にきちんと伝えられるようにするのを発信型理解といいます。発信型理解が大切になりますが、それを達成する一つの工夫が学習の各段階で成果を自分でまとめるということです。そのことで子供自身が振り返ると同時に、先生方がこの子はどの程度分かっているのかということを把握できるわけです。形式化すると困るのですが、分かったことを子供たちが自分の言葉でまとめていくことを実践してみてはどうでしょうか。

これをジャーナル・アプローチなどと呼びます。「ジャーナル=書く」ということです。発表の時だけ書かせるのではなく、必ず学習の各段階で、興味・関心をどの程度持ったのか、テーマ探しがうまくできているのかどうか、調べ学習がきちっと進んでいるかどうか、そして発表するときにも、きちっと発表できる素材があるかどうかということを常に確認していくということです。

この他、グループディスカッションを取り入れていくこともいいと思います。これを「パフォーマンス・アプローチ」などと呼ぶこともあります。グループ・ディスカッションすることによって、自分の考えが深まって、あの人の考えがおもしろいなとか楽しいなといったことが分かってきます。

グループ・ディスカッションやグループ・リサーチでも、司会と記録を決めておくようなことも大切です。また、グループ・リサーチとディベートを一緒にやってみるのもいいと思います。
要は、子供同士の相互やり取りができるようにしていくことが大切です。

また、個々の調べ学習の成果報告をグループ・ディスカッションとして実施すると、他の子供はどれだけうまく進んでいたのか、どんなことが調べられたかということが分かってきます。他の子供の成果に触れることで、自分の学習の度合をはかることもできます。

こうした形成的評価というのは子供のためと同時に、先生方が次のテーマを見つけていくこと、子供に次のテーマを指示していくことにつながります。先生方が的確に次の指示が出せるということです。

子供たちがノートに取ったものやグループ・ディスカッションをしたものの成果物がポートフォリオというわけです。このポートフォリオを使って、学習成果のレポートをつくることも可能になります。例えば、その学習の中でデジカメで取ったものやインターネットからプリントアウトしたものを貼り付けてもいいですが、ただ、そのままではなく、自分の言葉でそのことについてまとめさせる工夫はしたいものです。

さらに、もっと調べたいことも考えさせたいですね。こうしたレポートの作成は、子供の記録になるし,子供自身の発信にもなってきます。いつも記録をとるというのは、子供にとっては


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