福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.137(H14/2002.11)-016/036page

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【ADHDへの基本的な対応】

「ADHD」と言われる子供には、不注意優勢タイプと多動性・衝動性優勢タイプ、さらに両方の混合タイプとがあります。

多動性・衝動性優勢タイプは男子に多く、今回の事例の裕太君が見せているような行動が見られます。不注意優勢タイプは女子に多く、ぼうっとしていて、注意がそれやすい、注意の持続力に欠けるなどの行動が見られます。

また、「ADHD」の子供は、二ヵ所以上で気になる行動をすると言われており、学校ばかりでなく、一日の大半を過ごす家庭でも気になる行動が現れます。そのため、改善につなげるには、一番身近にいる担任の先生とお母さん等が絶えず情報を交換しながら、共通理解のもと、協力して対応していくことが肝心です。

その際のポイントを、次の6つにまとめてみました。

1 子供の問題となる行勤を明確にする。
まず、問題となる行動についてできるだけ具体的に書き出してみましょう。
 例)「遊びのルールや順番が守れない」
   「時間割がそろえられない」等

2 行動の直前で誘発している要因を探し、取り除く。
問題が生じる直前に何が起きているのかを確かめてみましょう。それが問題を誘発している要因とも考えられます。
 例)特定の友達とのトラブルが多い。
   →一緒の活動を減らす。

3 問題行動の直後の要因について考え、その結果を変えられないか検討する。
問題が生じた直後に何が起きているのかを確かめてみましょう。それが問題を繰り返させている要因になっていることがあります。
 例)教師の気を引こうとする行動に必要以上に注意を向けてしまう。それがどんどん問題行動を繰り返し、授業を妨害していくという結果になってしまう。
   →深刻ではない行動ならあえて知らん顔をすることも必要。しかし、その子供がよい行動を始めたら、ただちに注意を向け、ほめてあげましょう。

4 問題行動の様子をチェックし、記録を取り、それをもとに周囲の理解を図る。
問題行動の一つ一つに対して、問題を誘発している要因、持続させている要因それぞれを記録し、しばらく行動を追って、いくつかのパターンを見つけてみましょう。見つかったならば、そのパターンに対して、どんな方法で対応を行うことがその子供にとって改善につながるのかを決め、本人にかかわる周囲の者が同一歩調で対応できるよう協力を求めましょう。

5 日ごろからのかかわりについても、家庭・学校全体で共通理解を図っておく。
その際、次に示す日ごろからのかかわりも大切です。

 ○ できること、好きなことに着目し、ほめたり、認めたりする。
 ○ よさを見つけ、興味・関心を生かせるようにする。
 ○ 一対一の関係を大切にする。
 ○ 刺激を少なくする環境をつくる。
 ○ 社会での基本的なルールを繰り返し教える。
 ○ いけないことをした時は、その都度簡潔に分かりやすく教える。
 ○ 感情的になった時は、気持ちが落ち着いてから、子供の気持ちをじっくり聞いてやる。

6 家庭と連絡帳で情報交換をする。
多くの「ADHD」にとって、注意したい内容ではなく、うまくやれたことを中心に、毎日学校と家庭とが情報をやりとりする連絡帳の活用は、改善を図る上で有効な方法です。


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