福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.137(H14/2002.11)-021/036page
教育調査チーム教育の現状調査
『完全学校週5日制実施に係るアンケート調査』から
平成14年4月よりスタートした完全学校週5日制及び小・中学校における新教育課程の実施に関して、各学校での対応や児童生徒、保護者の受け止め方等についてのアンケート調査を去る6月に実施した。ここでは、紙面の都合上その一部を紹介する。
1 学校では
県内の公立小中高等学校889校から回答が寄せられ、ほとんどの学校では、平成14年4月までに完全学校週5日制の趣旨説明を的確に行い、小中学校においては、新教育課程の実施に向けての計画的な準備がなされていることが明らかとなった。
完全学校週5日制に関する趣旨説明では、「学校、家庭、地域社会が連携した教育機能の発揮」「教育課程の見直しと基礎・基本の徹底」「自然体験や社会体験の拡充」等について重点的に行ったと回答している。
新教育課程実施に関する対応では、各学校における生徒指導上の課題等を明確におさえながら、学校と家庭や地域社会との連携を重視した校務運営組織の構築や基礎・基本のより確かな定着を図るための教育課程の見直し、日課表の工夫等、各学校の実情に応じた対応がとられている。
2 児童生徒は
児童生徒の意識については、県内で抽出した小学校21校の小学3年生、及び小学6年生、中学校21校の中学2年生の合わせて1034名から回答を得た。
「休みが2日になっての生活の変化」についての回答(複数回答)では、「休みが増えて楽しい」の項目に約8割近くの児童生徒が「楽しい」と感じている半面、約4から6割「学校で友達と一緒に部活などでがんばりたい」と回答している児童生徒もおり、家庭、地域社会での教育機能の充実や意識の啓発を図っていくことが必要である。
「土曜、日曜日にしてみたいこと」についての回答(複数回答)では、「野外で思いっきり遊びたい」と回答した児童生徒が約8割近くいる半面「ゆっくり休みたい」と回答した児童生徒が約6から9割おり、特に中学2年生では87.2%が回答している。
「親子のふれあい」では、「以前より増えた」という回答が約3割、「あまり変わらない」の回答が約6割であり、家庭や地域社会の意識高揚をさらに図っていくことが必要である。
3 保護者は
前項での児童生徒の保護者1034名から回答を得た。「保護者から見て子供の生活状況が以前と比べどう変わったか」については、「生活のゆとり」では、約4割の保護者が「ゆとりを感じる」としている。
また、児童生徒の「学習への興味・関心等」については、「以前より家族へ質問するようになった」「学習への意欲が見られる」「学校が楽しい」と回答した保護者が約4割前後であった。
「児童生徒の主体性」や「家族の一員としての自覚」、「家族とのふれあい」などの質問項目への回答では、それぞれ約1割程度であった。
4 調査を終えて
「学校、家庭、地域社会が連携して教育機能を発揮し、児童生徒に確かな『生きる力』を育んでいく」という完全学校週5日制の趣旨の徹底を図るためには、保護者などへの継続的な啓蒙活動等を通して、家庭の教育力、地域の教育力を高めていくことがより大切である。
※ 尚、調査分析の詳細は、本センターホームページに掲載しておりますのでごらん下さい。