福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.138(H15/2003.2)-006/036page

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いて高まりが見られた。特に管理職は、「自分自身の意識の高まり」「教職員、児童生徒、保護者による評価の意義と重要性」「学校経営・運営の改善のための有効な手段」という点においてその有効性を指摘している。
また、評価者を児童生徒、保護者にまで広げたことにより、学校評価はもちろんのこと、学校経営・運営全般を見直す機会になったことも挙げている。
さらに、公表を前提として実施した学校からは、評価結果への具体的な対応を通して保護者からの期待と信頼が高まったことが報告されている。
A 学校評価票1について
評価票1の試行によって、「保護者との信頼関係の強化」「指導等における課題の明確化と改善」「児童理解の深化」等がもたらされ、有効であったととらえている。
評価項目及び項目数については、おおむね、適切であると感じているものの、「児童生徒に対する設問内容・表現の難しさと学校や担任評価に対する児童生徒の判断等の難しさ」「学校や担任の指導状況に対する保護者の理解状況の不確かさと、それによる評価・判断の難しさ」「評価結果の適切な公表の難しさ」を挙げている。
B 学校評価票2について
評価票2の試行によって、職員は、意欲的に取り組み、計画的・組織的実践をする上で有効であったととらえているが、あれもこれもというのではなく、学校の重点目標の達成等のために実施していくことが望ましいと感じている。
C 児童生徒や保護者の対応
児童生徒からは、試行を通して「自分を振り返ること」「教師の意欲の表われ」とともに、「評価項目の内容の難しさ」と「教師を評価することへの抵抗」が挙げられた。
保護者は、「学校、教職員の本気な取り組みが伝わってくる」「これを機会に子供との会話や観察に努めたい」「今後も継続してほしい」などの意見とともに、「質問が分かりにくい」「学校内のことは分からない」「判断できない」「目的が分からない」「比べようがない」などの意見もあり、今後、児童生徒、保護者への十分な説明の必要性が感じられる。


U 研究のまとめ

(1) 試行に参加した各学校においては、試行を通して管理職及び教職員の学校評価に対する意識の高まりが見られた。
特に学校評価票2を作成・実践する中でP・D・C・Aのマネジメン卜サイクルの理解と手法の有効性が実感できたことは学校改善への確かな手応えとなった。
(2) 評価票1及び2の実践によって、自校のよさの伸長及び課題の改善が図られた。また保護者との信頼関係が強化され、児童生徒理解が深まった。
しかし、評価票1の表現や内容等については問題点も指摘された。各学校がそれぞれの実態に応じてより適切な評価項目を作成していくためのサンプルとなるように改善を図りたい。
(3) 教職員、保護者、児童生徒の学校評価に関する認識をより高めるとともに、学校経営・運営の一層の改善に資するためにも、より体系的な学校評価システムを提言する必要がある。

◇参考文献
「学校評価の促進条件に関する開発的研究」      国立教育政策研究所(代表)木岡一明
「目標管理の知識と実務」                 猿谷雅治・市川彰
「学校教育自己診断のまとめ」              大阪府教育委員会
「学校自己評価実施の手引き」              三重県総合教育センター


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