福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.138(H15/2003.2)-008/036page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

V B班の研究

研究テーマ
〜子供たちの「確かな学力の向上」を目指し、「個に応じたきめ細かな学習指導」を実践するための基礎研究〜

1 研究の趣旨

これまで国語・数学・英語を中心に実施した学力調査は、集団の平均値に基づく調査・分析がほとんどであった。しかしながら、「学習のつまずき」や「学習への取り組み方」は、子供たち一人一人の学力到達度や学習ス夕イルなどによって大きく異なると考えた。このことを数学を中心とした学力到達度試験と学習基礎調査を実施して具体的・数量的に検証した。さらに、各教科における基礎的・基本的な学力の向上を図るための調査・分析の方法や学習指導の在り方についても研究した。

ー方、「IEA国際数学・理科教育調査」や「OECD生徒の学習到達度調査」(PISA)の結果によれば、我が国の子供たちは各教科の基礎的・基本的な知識の習熟レべルは国際的に見てトップクラスであるにもかかわらず、実際の問題解決場面における問題解決能力は必ずしも高いとは言えないことが明らかになった。そこで、それぞれの教科における基礎的・基本的な学力の向上にとどまらず、問題解決場面で生きて働く知識を身に付けさせるための学習指導の在り方についても考察した。

2 調査対象

本県の2つの中学校の3年生437名

3 研究の内容

次の3つの研究項目に分けて、研究を行った。
(1) これまでの学力到達度調査結果の検証
平均値を基にしたこれまでの本県学力到達度調査結果によって、つまずく生徒が多いと指摘された数学や国語の学習項目の中から代表的な項目を選び出し、その項目についての学力到達度調査問題を作成し、学力到達度ごとの学力の実態を明らかにした。
さらに、数学、国語、英語の3教科それぞれについて生徒の学習姿勢を調査し、学力到達度の違いによる学習姿勢の違いを明らかにした。
(2) 問題解決能力の育成のための基礎研究
PISAの調査問題を参考にしながら、研究項目1で作成した学力到達度調査問題と同じ学習項目で問題解決能力を測るための試験(総合的・発展的な学力試験)問題を作成し、学力到達度ごとの問題解決能力の違いを明らかにした。
さらに、この試験の成績による学力到達度ごとの学習姿勢と、これまで本県で一般的に実施されてきた試験の成績による学力到達度ごとの学習姿勢の違いを明らかにした。
(3) 学習基礎調査結果の分析を基にした学習指導改善
T「生活習慣」、U「自分自身」、V「学習への意欲・姿勢」、IV「学習スタイル」、V「学習環境」の5領域について各10項目、計50項目の学習基礎調査を実施した。
分析は、学力到達度によって分けた5つの学力層と学習基礎調査の結果によって分けた3つの層をクロスさせ、調査対象生徒を15グループに分類し、各グループの特性を明らかにした。
併せて、それぞれのグループに対する学習指導上の支援の在り方と留意点等についても考察した。
これらの3つの項目による研究を通して、「確かな学力の向上」を図るための学習指導の在り方について研究を進めた。なお、2つの班の研究は研究途上であり、詳細については、来年度初めに公表する予定である。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。