福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.138(H15/2003.2)-016/036page
1 メンタルサポートの「3つの柱」
山下先生からは「秘密にしてほしい」と言われましたが、香川先生は迷った末、学年主任に相談しました。学年主任は教頭先生に、更に、教頭先生は校長先生、養護教諭に事情を伝え、最終的には5人の職員で、山下先生への支援策を話し合うことになりました。
メンタルヘルス(心の健康保持・増進)に関する研修を積んでいる養護教諭からの提案を基に、次に示す「3つの柱」を支援の方向性として確認し合いました。
メンタルサポートの3つ柱
○その1 弱音や愚痴を聴く。
(ストレスの蓄積防止を図る)
○その2 チームを組み支援する。
(ストレスの緩和を図る)
○その3 休暇・通院を勧める。
(ストレスからの回避を図る)
○その1 弱音や愚痴を聴く。 (ストレスの蓄積防止を図る) 教師は、一般的に「まじめ、几帳面、誠実、熱心、責任感の強さ、律儀、献身的」などの性格傾向があると言われます。この性格傾向は一般的には望ましいものですが、一方ではストレスに弱く、うつ病などの精神疾患に陥りやすいとも指摘されています。
個人の性格やものの考え方は簡単には変え難いですが、周囲のかかわり方の工夫によって、ストレスの蓄積防止を図ることはできます。それは、弱音や愚痴を聴いてあげることです。
このときの留意点としては、相手の話をじっくり聴いてあげつつも、「心配している」「がんばれ」などと安易に声をかけないことです。心配しすぎ、励ましすぎは、敏感になっている相手に「やはり自分は駄目なんだ」と思い込ませてしまう危険性があります。むしろ「私も同じように思う」「自分も似た失敗をしたことがある」など、自分だけを責めている気持ちを和らげてあげる声かけが肝心です。
○その2 チームを組み支援する。 (ストレスの緩和を図る) 弱音や愚痴を聴くことは、ストレスの蓄積を防止する効果はありますが、それによってス卜レスが無くなるわけではありません。
そこで、ストレスの素になっている問題の改善・解決に努め、ス卜レスの緩和を図ることが重要になります。しかし、それが自分一人でできずに悩み追い詰められるわけですから、チームを組み支援する必要が出てきます。支援の中身は、生徒指導上の領域、学習指導上の領域、校務分掌上の領域などが考えられます。
このときの留意点は「代わりにやってあげる」のでもなく、「〜するべきだ」と指示するのでもなく、相手の立場や努力を尊重しつつ、それぞれの立場から「参考になるかどうかはわからないけれど〜」など、さり気なく支援することです。依存心や自己否定感を生じさせる支援にならぬよう十分気をつけることが大切です。
○その3 休暇・通院を勧める。 (ストレスからの回避を図る) 弱音や愚痴を聴いてあげ、チームを組み支援をしても、なかなか事態が改善されない場合もあります。
その場合は休暇をとることや心療内科などへの通院を勧めることも必要になります。早めに休みを取る、必要に応じ服薬するなどして、ストレスからの回避を図ることが、事態の深刻化・