福島県教育センター所報ふくしま「窓」 No.139(H15/2003.7) -012/036page
4 経験の援助
昨今は職場見学等を積極的に取り入れる高校も増えてきているようです。事前学習だけでなく、事後に予想と違っていたことを整理させるなどの工夫も必要です。
【川島先生の取り組み】
「自分一人で出来ることには限界がある」と考えた川島先生は、以前教育相談係の斉藤先生が「教育相談の手法を活かしたホームルームの指導案をいくつか準備していますよ」と職員会議で言っていたことを思い出し、
「私がホームルームの指導案を作って、それをクラス担任の先生方にやってもらってはどうだろう」
「進路指導部だけで考えるのではなく、教育相談係の先生にもノウハウを提供してもらえるようにお願いしてみよう」
と考えました。斉藤先生から助言を得た川島先生は「自己紹介文を書こう」と「フリーターはなぜ不利なの?」という二つの指導案を作り、1学年主任の加藤先生に紹介しました。加藤先生は早速その指導案を実践してみることにしました。
【加藤先生のホームルーム】
1学年全体を対象とした進路講話を来週に控えた日、加藤先生はホームルームで「自己紹介文」を書かせることにしました。
生 徒 先生、どうしてこんなの書くんですか? 加 藤 来週進路講話があるよね。それに向けて少し予習をしようと思うんだ。 生 徒 「予習」ってどういうことですか? 加 藤 卒業後進学する人も含めて、君たちはいずれ就職する訳だけど、将来やりたい仕事がはっきり決まってる人はどれぐらいいるかな。中には自分が何に向いているのかもわからない人がいるんじゃないかな。そこで今日は、自分にはどんな「資源」があるかを再発見して欲しいと思うんだ。 生 徒 「資源」って何ですか? 加 藤 「私はくよくよしない性格だ」とか「手先が器用だ」とか、自分に出来ることや持っているもののことだよ。自分の能力や興味関心、それに趣味や家族なども資源だよ。「自分にはこんな資源がある」ってことをみんなに伝えるつもりで「自己紹介文」を書いてほしいんだ。ただし、書きたくないことは書かなくていいんだよ。人に伝えても良い範囲のことを書いてね。 加 藤 そろそろいいですか。ではその「自己紹介文」を隣の人と交換してください。 生 徒 えー!人に見せるんですか!? 加 藤 そうです。だから人に伝えても良い範囲のことを書いてね、と言ったんです。 加 藤 読み終わりましたか。それでは今から順番を決めて、相手のことをほめてもらいます。 生 徒 えー!そんなの恥ずかしいですよ! 加 藤 ここが大切なんだよ。みんなの中には自分自身の良さに気づいていない人もいるかもしれない。だからお互いにそれを伝え合うことで、自分のことをもっと分かって欲しいんだ。自分にどういう「資源」があるのかを分かった上で進路講話に臨